水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

北方遊水池の棚池(千葉県市川)

【ぼっけゆうすいち。大柏川第一調節池緑地】
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15もの大小の「棚池」が調節池を取り囲む

都市を洪水から守るこの広大な施設には、北方遊水池大柏川第一調節池という二つの名がある。河川敷などに増水した河川の水を広く「面」で受け止めるのが遊水池(地)。
平時は水面を持たないもの、複数の天然湖沼状の池をもつもの、人工の調節池を複数組み合わせたものなど形態は多様であり、計画性に基づいた人工の氾濫原という見方もできる。
数十年に一度の大洪水に対応できるよう設計されるとはいえ、敷地が広大なだけに平時は洪水調節以外の目的にも使われることケースが多いが、浸水を想定した開発しかできないため、動植物の環境保全の役割も注目されるようになった。
ここ北方遊水池にも100種を越える植物が生育しているとされ、この土地に昔からあった固有種や在来種を積極的に植栽する努力もなさされており、環境学習、野鳥観察の場としても活躍している。
大柏川の越流堤から増水した水が流れ込むゾーンは遊水地の中でいちばん低いゾーン。このゾーンは常時、立入禁止となっている。
注目すべきはこのゾーンを取り囲むように緩斜面に階段状に設けられた15もの「棚池」群。環境保全のために採り入れられたアイデアだが、全国でも棚池をセールスポイントにした遊水池はめずらしいと思う。
遊水地に棚池を設けた事例で思い浮かぶのは佐賀県唐津のアザメの瀬。水田を5m掘り下げて人工の氾濫原を造ったものだが、これも一種の遊水地といえそうだ。
日本最大の遊水地は栃木、群馬、埼玉、茨城の四県にまたがる渡良瀬遊水地。一方、神奈川県大磯町の石神台遊水池(仮称)は周囲長がわずか400mほど。遊水地もけっこう混沌としている。

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マークした場所は駐車場。