無名の滝やポットホールを従え、山奥に孤高に佇む「謎ダム」
名勝の赤目四十八滝の近くにある山深い場所に、ぽつんと孤高にたたずむ素性の分からない池が前から気になっていた。航空写真で見ると整然と整えられた堤体が。経験上、これは間違いなくハイダムでしょーと目星をつけたものの、「ダム便覧」をはじめダムマニアサイトにも言及はない。奈良県オフィシャルため池データベースをひもとくと、堤高14.9mの鶴ヶ池という溜め池として登録されていた。
しかし、どうも腑に落ちない。わずか10センチ。大人の事情の匂い。この目で確かめるしかないと現地へ。
アプローチ路入口・・西谷
西谷という小さな集落を貫く狭い舗装路を抜けて、どうにか池へのアプローチ路入口に着いた。しかしここでクルマ止めゲート。
ここから池までは4kmほどある。おまけに熊出没の看板。
西谷川では無名の滝とポットホールが
熊対策装備をかため徒歩で進む。
さすが赤目四十八滝の近くだけあって一枚岩の滝や、その滝つぼにポットホール(甌穴)らしき池状のものも。
鶴ヶ池(空撮)
農林水産省に「堤高15.9m」の記述を発見
その後、農林水産省のサイトに「鶴ヶ池の森」という資料があったが、そこには堤高15.9mと記されている。改修時に堤高をハイダム未満に意図的に抑えた可能性もあるが、とりあえず当ブログでは「ダム」カテゴリに分類しておくことに。
以下、農林水産省サイト「鶴ヶ池の森」から引用。(太字は筆者が施した)
鶴ヶ池の森は、三重県との県境に近い奈良県の北東部にあり、宇陀川の源流である鶴ヶ池の上流に位置する森です。 明治のはじめ、「水田を作る水がほしい」という住民の願いのもとに、提高15.9メートル、貯水量9万トンの鶴ヶ池を3年の月日と労力を掛け造り、その水を確保するために水源林を造成し育成に努めました。その森が今、100年前後 の見事な美林に成長し、溜め池には水が満々とたたえられています。 この池は、全国でも最大級のモリアオガエルの生息地であり、梅雨の時期になると、産卵が始まります。この産卵 は樹上で行うという珍しいもので、水面などに張り出した木の枝や水辺の草むらなどに、黄白色でソフトボール大の 卵塊を産みます。孵化したオタマジャクシは、樹上から水面へと落ち、カエルとなり山にかえっていきます。 この森の近くには、シャクナゲで有名な室生寺があり、また近くには、室生寺よりも古い歴史をもち、水の神「龍神」 祀る龍穴神社もあります。その他数多くの観光地があり、毎年多数の方々が訪れています。
所在地:奈良県宇陀市室生西谷字ヌマ