水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

櫛形山「池の茶屋」登山口の池群(仮称)(山梨県富士川)

まるで山が笑っている口のように、そこだけポッカリと木が生えていない草地。雪と水が一定期間は溜まっていることをうかがわせる。それにしても不思議な地形だ。

はじまりは「池の茶屋」という名の林道

はじまりは「池の茶屋」という林道名だった。池の茶屋というものは現存しておらず、池もどの池を指すのか情報がなかったため、標高千メートルを越える山深い現地へ。
この際、櫛形山の「池の茶屋登山口」近くに、ため池らしき構造の痕跡を見つけた。この池は訪れたときは水はなかったが、池を取り囲むように未舗装林道が通じていた。
ほか、Googleマップで池として記載されている天然湖らしき池跡(こちらも水はない)と、国土地理院で窪地として記載されている池跡らしきものもあったので合わせて掲載しておく。
いずれも標高1,800m以上にあり、雨後出現湖タイプの池と思われる。

 

地形図と3D航空写真

国土地理院の地形図より。「池の茶屋」登山口のまわりで見つけた三つの池跡らしき痕跡を落とし込んでみた。


 

堤構造をもった池

登山口駐車場手前の林道から池への管理道分岐がある。池は林道にほぼ沿う形で縦長の形状。

中央下の舗装林道の右手に池のくぼみが見える。それを取り囲むように下から右側に半円を描く管理道の溝も見える。奥は標高2,052mの櫛形山。

池の茶屋登山口

駐車場、トイレあり。


池への入口

林道から派生。右に進む管理道が堤の天端になっている。

堤の天端

堤の池側には蛇籠も見える。やはり水が溜まることを想定している。


池の全景

水が溜まる期間は短そうだ。

堤の排水口

水門やオリフィスのような仕組みはなく、ダダ漏れの土管。水を溜める意図はなく、どちらかといえば湛水する前にさっさと排水したいらしい。


 

Googleマップに記された池

現在地マークの右上あたりに池が記載されている

こちらの池はGoogleマップに池として記載されている(2022年時点)だけあって、空撮でかなり明瞭な池の痕跡を確認できた。
池地形としても、とても興味深く、魅力的な窪地。
アプローチルートは不明。

なぜ木が生えない?

この程度のくぼ地なら早々に消失して樹林帯に呑み込まれてもおかしくなさそうなのに、なぜ木々はこれ以上この空間を侵すことができないのだろう。何かの神域? 池の中央に岩なのか湧水口なのか、丸い禿げも見える。



 

第三の池痕跡

地理院地図の引き込み線?

赤の手書きで示した部分、楕円形の1950ラインの等高線に矢印のような引き込みが記されているような・・。これが第三の池と目を付けた場所。

Googleマップの航空写真では

左端の方に見える白い雪だまりがそれか。

現地案内板に落とし込むと・・

ハイキング路からは少し離れている。登山口から30分ほどの北岳展望デッキから少し進んだあたりがいちばん肉薄するポイント。コルにできた窪地のようだ。調査は今後も継続。


 

池さんぽマップ


 

Googleマップ

マークした場所は、登山口駐車場。トイレあり。