水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

日尾池(石川県金沢)

日尾池の湖面を捉えた! なんという立地?!

「幻の・・」と称される山池群

吉次山(800m)と奥高尾山(841m)との間の吊り尾根のかたわらに「幻の日尾池群」と地元案内板が記す日尾池があるという。
地形としては吊り尾根のたもとにあたる稜線ライン上で、そんな場所に池があるとはとても思えないし、航空写真でつぶさに見てもはっきりと池と確認できるものもない。おまけにネット上でも情報はほとんど出てこない。
2022年9月の初アタックにおいては、金沢の奥座敷、味わい深い湯涌温泉から上る高尾山登山口より奥高尾山を経て日尾池をめざした。標準歩行速度では往復でおよそ5時間ほどの登山行程。
さて、どんな池だったのか、いっしょに歩いて行こう。

日尾池へのアクセス

二つのルートがある

日尾池には、西側尾根の採石場登山口から吉次山(800m)を経由するルートと、湯涌温泉から入る高尾山登山口から前高尾山と奥高尾山の二峰を越えていくルートがある。

高尾山経由ルート

距離は吉次山ルートに比べて長いが登山口へのアクセス入口に湯涌温泉街があり魅力的。

登山口へのアクセス路入口

登山口アクセス路入口に湯涌温泉の公衆トイレがある。ここから先はトイレがない。
アクセス路は狭いが登山口まで全線舗装。

高尾山登山口

舗装林道の終点になっており展開スペースを兼ねた駐車スペース。ほか少し下ったところにも数台分の駐車スペースあり。標高340m。

前高尾山

標高763mの最初のピーク。眺望、ベンチもありランチ向き。

前高尾山ピーク横の池

ここにも池があると案内マップに記されていたものの、池は見あたらず。見落とし? 天然杉らしきものは見つかったので写真を。


高尾山(奥高尾山)

標高841mのこの峰が日尾池への行程における最高点となる。ここまで500mほどの登高。山頂が分岐点になっており、池に行くには吉次山方面へ。ほどなく「日尾池40分」の標柱があり、池までは下り基調の山道。


標高770mの池

登山路を水没させている池が登場。倒木が何本か橋がわりに置かれている。
水たまり状の浅い池だが雨後のみ出現する池ではなく、比較的長い期間、池の形態を保っているものと見られる。特に北側はやや深さがあり、オタマジャクシのほかサンショウウオの姿も見られた。




標高759mの池

上下の二つの池の間を小さな沢が登山路を横切るかっこうで流れていた。




 

日尾池の形態

湖面標高は740mほど

登山アプリでの実測値。

水位は比較的安定か

北陸地方を夜来の大型台風が通過した翌日、まだ雨が降るなかで出発し、到着時に雨があがった状況なので、おそらくは平常時より水位は高い状態だったと思われる。
多少の陸性植物の水没は見られたが、大きな水位の変化は感じられなかった。
吊り尾根のかたわらという特殊な立地のせいだろうか。

流れ込みと吐き出し部

薮に囲まれた状態で直接、目視することはできなかった。
登山路部分が低くなって堤状にも見え、池の反対側は谷へと接続していたが、増水した池の水がここをオーバーフローする可能性はほとんどなさそうだった。

動植物

サンショウウオ、モリアオガエルが生息するというが個体は確認できなかった。ミツガシワが自生。

「幻の池」の理由は不明

幻の池と呼ばれる池は、増水時にのみ現れるものを指すことが多いが、日尾池は水位に安定感があるし、登山路沿いにあって「日尾池」を指す道標まである。そんなわけで何をもって「幻」としたのか分からなかった。
ただ、立地的にかなり不思議な印象を持ったのも確か。


 

日尾池の地形(空撮)

吊り尾根のかたわらに立地。


 

マップ

現地案内板のマップ

一部抜粋。

Googleマップ

マークした位置が日尾池の正確な位置。