世界的にもめずらしい形態のポットホール 。
八丈島は離島ではあるが年間降水量が多く、古い火山である三原山一帯は地下水も豊富なことから「水海山」と呼ばれ、島の暮らしを支える水源となってきた。
そんな水量が長い時間をかけて岩盤を削り、三原山の南東山麓にポットホール (甌穴)を生み出した。
滝壺タイプの甌穴群だが、数百メートルにわたって百を越える小滝と甌穴が連なっているのが特徴で、学術的な価値が高く町の天然記念物にも指定。確かに一枚岩のような長大な岩盤に穿たれた水路のような渓相は、本土も含めて他ではお目にかかったことがない。
専門家の見立てでは、数十年ないし数百年に一度の歴史的豪雨によって岩盤いっぱいに広がって流れ落ちた水流の中で、ジャンプしながら転がり落ちた岩によって少しずつ削られた部分が生じ、長い年月の中で水の道が生まれてきたのではないかと。まこと気の遠くなるような地形の営みだ。
八丈島一周道路から林道に折れて数キロの地点に駐車スペース2〜3台と散策路が整備されている。トイレなし。
直線距離で1.7kmほど北の八丈一周道路沿いに登龍峠展望台があり、トイレはそこにある。
ポットホールは鬱蒼と暗い東側斜面にあるので、陽光が差し込む午前中に訪れることがポイントとなろうか。夕方に訪れたので、写真映えは難しかった。