水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

畑薙湖(静岡県静岡)

はたなぎこ。畑薙第一ダム。
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中空重力式コンクリートダムでは世界一の堤体。

大井川に沿って長く狭く曲がりくねった1.5車線の山道をひたすら進んでいく。一生にそう何回も走りたくなる道ではない。南アルプスに刻まれた一本の深い谷は北に行くにつれて深さを増していく。
この舗装路の行き着く先に待っているのが、高さ125メートルの巨大なコンクリート建造物。畑薙第一ダムは中空重力式コンクリートダムとしては世界一の高さを誇る。
すぐ下流には畑薙第二ダムがあり、二つのダム湖の高低差を利用した揚水式水力発電が行われている。
このダムの堰体天端はクルマも通行できる県道で、湖岸をさらに1kmあまり走ったところでマイカーにとって魚止めの滝となるゲートがある。
苦行のように長いどんづまりの道なのに意外とやって来るクルマが多い。というのもここは南アルプスの百名山として名高い赤石、悪沢、聖の三峰をめざす登山者にとっては玄関口にあたる場所なのだ。登山をする前に運転でくたくたになる。赤石山系の登山は高速道インターを降りたところからすでに始まっているのである。
ゲート前の沼平駐車場は広くはないので、南アルプス百名山をめざすすべての登山者を受け入れきれない。よってダム下流側に未舗装の大駐車場も用意されている。

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2015年撮影。

畑薙湖は、南アルプス百名山登山者にとっての玄関口。

ほとんどの登山者は、マイカー規制ゲートから先の行程は、東海フォレストが運行する山荘利用者専用の送迎バスを使い、大井川の胎内奥深くに屹立する南アルプスへの旅路につく。
ゲートから先、未舗装林道は27kmも大井川に付き従う。その途上には赤石ダム、そして最奥部には田代ダムが控えている。
深田久弥の『日本百名山』の聖岳(No.85)でも言及されている奥離の秘境ダムに憧れるダムファンにとっては是が非でも行ってみたいダムではあるが、お金を払えば乗せてくれるシャトルバスではなく、あくまで山荘に泊まる登山者向けのバスなので、時間、金銭ともにかなり障壁が高い。
しかし、二つのダムめあてで日帰りアタックも不可能ではない。通行規制されているのはマイカーだけで、ありがたいことに、徒歩か自転車ならゲートの先に進むことができる

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畑薙湖のマイカー規制ゲート。自転車と徒歩は通行可。


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中空式コンクリートの堰体。


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ダムサイト右岸側の駐車スペース。登山者向けではなく、短時間駐車のダムファンや観光客向け。


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畑薙湖ゲート前の沼平駐車場。


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畑薙湖のインレット側。この区間の未舗装林道はマイカーで入ることはできない。


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畑薙湖の最奥部はごろごろの石の広い河原。赤い畑薙橋を渡って林道は左岸側から右岸側へと移る。


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ダムサイトの登山者向け案内板。ダムサイトによくある釣り案内ではないところが、いかにも百名山の起点らしさ。


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ダムサイトに立つ南アルプス遭難者の碑。名だたる登山家の名が刻まれている。


畑薙湖から先の赤石ダムまでの行程はこちら。
bunbun.hatenablog.com


畑薙湖のひとつ手前の畑薙第二ダムはこちら。
bunbun.hatenablog.com


マークした場所はマイカー規制ゲート前の駐車場。