水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

池田池(愛媛県新居浜)

いけだいけ。池田ダム。池田池公園。

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四国二位の大きさをもつ歴史あるため池。

四国はまんなかのところが南北にぐっとくびれている。海に置いた巨大な鉄アレイのような感じである。
くびれ、つまり鉄アレイの握りの部分の南側には高知市があり、北側に新居浜市がある。両市の市境は、いちばん狭いところで土佐郡をはさんで15kmほどしかない。とはいってもそこは四国連峰が屏風のようにそびえ立ち、両市は気候も違えば言葉も違う。
瀬戸内気候で雨が少ない新居浜には、四国のため池としては香川県の満濃池に次ぐ第二位の大きさをもつ池田池がある。
満濃池が弘法大師に由来する歴史ある池であるのに負けず、池田池も奈良時代の文献に「柏坂の古池」という名前で登場する。奈良時代に古池と呼ばれていたのだから、もっと古くからあった池なのだろう。
Googleマップには「池田ダム」と記載されていたが、徳島県の池田ダムを指すのが一般的である。池田池をダムと呼ぶには堤高が少し足りない気もするが、区別するためか「池田池ダム」という呼称もあるようだが正式なものなのか分からない。
また、同名の池としては熊本県天草に通称「大蛇池」という摩訶不思議な池がある。そちらの印象が強すぎるため、池田池というとどうも天草の方を思い浮かべてしまう。

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南岸の池田池公園には、1万5千本の花菖蒲も。

池田池みは湖周路があり散策やジョギングが楽しめる。堰体上はクルマも走ることができる。
公園には無料駐車場、バリアフリートイレ、あずまやなどがある。5月下旬から6月上旬にかけて1万5千本の花菖蒲が見ごろを迎え、紫陽花との競演を楽しめる。

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ため池として、釣り場としての変転の歴史。

千年以上の歴史をもつため池だが、この池が位置する旧・船木村には配水されず他の村を潤すというねじれた関係があった。船木村の所有となったのは昭和に入ってからである。その後、同村が新居浜市に編入されたことで池の所有も市に移管された。
次に釣り場としての歴史。
1990年代にはブラックバス釣りブームにのってランカースポットとしてのキャパシティが高い人気を集めたが、2000年ごろには駆除活動も高まりたびたび水抜きもなされたようである。一方、2012年に地元の釣り具店の情報では50センチオーバーのバスが釣れたという報告もあるから、駆除と放流がいたちごっこになっていたことと推察される。
最終的な地元の判断は「釣り禁止」。2015年に訪れたときには堰堤に釣り禁止看板があったものの、公園のある馬の背やシャロー側では少なからぬ数のバサーが見られた。
これだけ豊かな環境と歴史をもつ池であるだけに、一律に釣り禁止を掲げるのは、なんとも残念なことだし、魅力的な水辺として次世代に継承していく歩み寄りの動きに期待したい。

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マークした場所が駐車場。