水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

蔦沼(青森県十和田)

【つたぬま / 蔦の七沼(蔦七沼)】

朝焼けで赤一色になる蔦池の紅葉は、JRをはじめ秋の観光ポスター指定席。新聞、テレビでも毎年、季節のたよりとして紹介される。JRポスターをもとに絵にしてみた。

至極の紅葉写真スポットで国立公園

蔦沼は400mほど遊歩道を歩いてアプローチするが、起点となるのは湯治場として千年の歴史をもつ蔦温泉。登山拠点として無料駐車場、公衆トイレもある。
蔦沼は七人兄弟で、蔦の七沼とも呼ばれる。七つのうち赤沼だけは少し離れているが、六つは「沼めぐりの小径」という周回遊歩道で結ばれ、蔦沼、鏡沼、月沼、長沼、菅沼、瓢箪沼の順に一周すると3.2km、95分の歩程となる。
紅葉の季節、朝焼けした蔦沼の神々しい姿がは、観光ポスターや新聞・テレビの季節のたよりの定番スポットで、年に数回しかないチャンスを求めて夜も暗いうちから三脚を立てて待つカメラマンが多いときは百人を越えたそうだが、2022年から紅葉期早朝は入場予約制が導入された。

イワナ、ヒメマス釣りも

国立公園にもかかわらず驚いたことに、ここ蔦沼ではイワナ、ヒメマス、鯉を対象とした陸っぱりの釣りが楽しめる。ただし9/1〜10/10は禁漁期。10月の解禁後、湖面を染める朝焼けの紅葉という眼福に恵まれるかもしれない。入漁料必要。


 

2022年から紅葉期の早朝は高額な入場料が

残念ながら紅葉期の早朝に蔦沼に会うためには予約と高額な協力金が必要になった。例えば四人家族がクルマ一台で蔦沼を訪れる場合、なんと1万円の環境協力金を予約時に払わなければならない。
人数を絞るためなら、せめて抽選にして協力金を抑えることはできないのか。テーマパークじゃないんだから。



 

蔦沼の景観と形態

成因は火山由来の堰き止め湖か

北にも南にも同じ名の赤倉岳があって紛らわしいが、南の赤倉岳が噴火した際に生まれた天然湖が蔦沼。

地形(空撮)

上段は北から、下段は南から。



 

蔦七沼

右は蔦沼。左が菅沼。

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施設設備

蔦温泉

歴史情緒のある温泉宿。

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駐車場・公衆トイレ

左側に見えるのは公衆トイレ。

遊歩道入口



 

マップ

現地案内マップ


池さんぽマップ

Googleマップ

マークした場所は蔦温泉の駐車場。


 

八甲田山と青森

八甲田山は八つの火山をのせた山群の呼び名であり、この八つとは別に南八甲田の八山も加えなければならない。過去には日本では最悪の200名を越える死者をだした山岳遭難も起こった。映画にもなっている。
青森市街地から見ると八甲田山の巨大なボリュームに圧倒される。岩木山が山頂に向かってすっと引き絞られていく洗練で目を奪うとすれば、八甲田は巨大な台地がそのまま1500mの高さまで持ち上がったような量感で東西の好対照をなす。
何にでも醤油をかける濃い味好き、炭酸飲料の一世帯あたりの消費量は全国の自治体で1位を守りつづけ、はたまたインスタントラーメン消費量まで1位、その因果なのか県別の平均寿命の低さでは他を寄せ付けず独走する。
生まれてからずっと青森市で暮らしてきた人に、ちょっと塩分の摂り過ぎでは? と訊ねたことがあるが、即座に「気にしたことない」と返ってきて、あまりの潔さに感心したことがある。
そんな青森市民の達観した生きざまは、この東西二つのあまりに対照的な山を、毎日見てきたことと無関係でもないのかなと思う。