水辺遍路

実踏・日本の湖沼 6,800湖

逆川(埼玉県松伏)

さかさがわ。葛西用水。

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置きハシゴが並ぶ独特の光景

へらぶな王国さいたま釣り師の情熱。

なんという光景であろう。ビルの屋上から地上を狙いすますスナイパーのように、45度の急角度に釣り竿を固定して川面の浮子を見つめる釣り師らが並ぶ対岸には、長はしごの途中に釣り台を据え、3m近い垂直護岸をものともせず自陣を構える釣り師の姿も。
垂直にすとんと切れ落ちた護岸は、鉄の板を打ち込んだだけのそっけなさ。昭和の都市部でよく見られた。転落防止柵には、釣り人たちの据え置きマイ梯子が並ぶ。

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逆川という名は埼玉県内で他にも見られるが、この逆川は大落古利根川と新方川を連結するわずか700mの昭和テイストな水路で、構造や立地から高度経済成長とともに設けられた放水路だと思い込んでいたが、調べてみると江戸時代初期に100年かけて造られた葛西用水(日本三大用水・疎水百選)の一部ということらしい。
江戸の水路ネットワークは複雑すぎて、もはやオリジナルの河川など残っていないのではないかというほど手が加えられている。江戸時代から現代に至るまで改造がつづけられた結果、運河、用水に加えて現代では放水路や暗渠、調整池とポンプが人体組織のようにつながっている。これらをひもときながらたどっていけば、それだけでブラタモリ1年分ぐらいにはなりそうだ。
2017年冬に訪れた際には、ポンプによる試験通水の環境モニタリングを行う旨の告示が掲げられていた。従来の鉄板むきだしの機能オンリーではなく、景観や生態にも配慮した新しい逆川への第一歩だとしたらうれしい。
試験通水中は水位が若干、高くなるということなので、ハシゴを使ったダイナミックな釣りスタイルが本領を発揮するのは、水位が下がる春からになるだろうか。

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逆川の名物、長ハシゴ釣り。右は2011年。水位が低い。


この情熱、どこか昔の東南アジアを思わせるような光景だが、釣りをするのは食べるためではない。釣るために釣る。相手はへらぶな。さすがは、へらぶな王国、埼玉である。


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ポンプによる試験通水の告示。


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鉄板で臨時の堰が。このため水位が高くなっている。


マークした場所は公園駐車場(無料)。