水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

深田池(奈良県橿原)

橿原神宮。
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神社と内務省管轄だった奈良時代からの池。

古代からの農業用ため池で「池郷」と呼ばれる水利組合によって管理されてきた。現在は橿原市街の中心部にあるため農業利水の機能はなくなったものの、橿原神宮内の文化遺産として開放保全されている。
トイレ、駐車場、遊歩道、休憩所あり。
駐車場有料500円。
なお、同名の池は兵庫県神戸市にもあり、そちらはブラックバス、へらぶな釣り場にもなっている。

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駐車場は有料。
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(ため池研究サイト「イケQ」より引用)
深田池の池郷
水がかりが複数の集落の領域に及ぶ場合、用水源のため池を共同で維持管理する池郷とよべるまとまりが古代に成立することになる。そのまとまりは村落共同体と称するまとまりとは即断できない。同一池郷の中に属する集落間に、水利をめぐる階層性やそれらを繁栄した水利慣行が多くみられるからである。

池郷はため池面積が大きいほどその広がりは大きい。橿原市内では当然、(前述の)多集落所有のため池の池郷が広い。

このような池郷の代表的な例には、鳥屋池、石川池、深田池などがある。第4-34図はそれらのため池の池郷を示したものである。鳥屋池の池郷は鳥屋、西池尻、吉田、大谷、慈明寺、寺田、雲梯、五井の八集落、石川池のそれは石川、和田、田中、久米、畝傍、四条の六集落、深田池は久米、畝傍、大久保、山本、慈明寺、四条、寺田の七集落からなり、いずれも池の下流部の集落から構成されている。そして一般的には、池に近接した最上流の集落が有利な水利慣行を形成している。同図を見ると、鳥屋池の池郷と石川池の池郷の間にははっきいりした境界が存在し、両方でまたがる集落は存在しない。それに対して、現在灌漑が行われていない深田池の池郷は、前二者の池郷の両側にまたがった形で広がっている。おそらくは、石川池と鳥屋池の池郷がそれぞれ別個に形成されたあと、深田池の池郷がそれをカバーする形で形成されたものであろうが、この点は検討を要する課題である。