【かんならしいけ。おも池】
神々の庭池。UFOライン沿いにある奇跡の山池
まったくもって驚くしかなかった。不思議な地形の池はときどき出会ってきたが、四国の最高峰を連ねる脊梁山脈の尾根、標高2千メートル近い屏風の上端に、猫の額ほどの小さな踊り場。そこだけは、たえず雲の通り道になっていて、生き物のように白い尾を這わせた帯状の雲が渡っていく。
池の水はふだんは枯れている状態が多く、なみなみと水をたたえた状態にはなかなかお目にかかれないらしい。そういう意味では幻の池ともいえる。
奇跡の池を生んだのは造山活動と地質だ。平成3年に建てられた神鳴池の記念碑はこう記す。
神鳴池は、四国を東西に走る中央構造線と御荷鉾構造線の間にある三波川結晶片岩地帯に属し、古期崩壊で生じた大亀裂が山頂部で二重山稜の線状凹地になる。この凹地の一つが伊予の国と土佐の国の境、西黒森(1,861m)と自念子ノ頭(1,701m)の間にある池である。
またこの記念碑によれば、神鳴池には大木や一抱えほどの石も引きずり込む強力な糸を操る化け蜘蛛がヌシとして君臨し、怖れられていたという。
伝説の中でヌシによって引きずり込まれた15センチ角、長さ60センチほどの石が、昭和49年の林道建設調査時に池の中心付近で見つかったというが、池の底が見える状態での空撮ではそれらしいものを捉えることはできなかった。
伝説の石は草に埋もれているだけなのか、それとも、どこかに移されて祀られているのか、その後が気になるところであるが、行方について記念碑には何も記されていない。
マークした場所は神鳴池の記念碑。