水辺遍路

訪れた全国1万1,600の池やダムを独自の視点で紹介

前谷津池(埼玉県寄居)

まえやついけ。

「沼下」と呼ばれる独自の水利組合と「日本農業遺産」

比企丘陵における谷戸地形の溜め池を活用したエコな水利システムが、2023年に日本農業遺産に認定された。前谷津池もその構成要素のひとつ。
以下、「比企丘陵の天水を利用した谷津沼農業システム」についての解説。熊谷市のオフィシャルサイトより。

埼玉県比企丘陵地域(滑川町、東松山市、熊谷市、嵐山町、小川町、吉見町、寄居町)は、谷津地形(丘陵地で形成された谷状の地形)を活かして多数のため池を築き、谷津田での稲作と谷津斜面での少量多品目の畑作を行っています。ため池と谷津田は河川からの引水等がなく、天水のみを水源とした閉鎖系の水利システムとなっていることから貴重な生態系が維持されています。「沼下」と呼ばれる伝統的な水利組合組織によりきめ細かな水管理が行われており、地理的な水の得にくさを克服した省エネ水供給システムです。