水辺遍路

実踏・日本の湖沼 5,850湖

神の子池(北海道清里)

かみのこいけ。

北海道でも屈指の神秘の湖、その名も「神の湖」の意のアイヌ語で「カムイトー」といえば摩周湖のことである。この神の湖と地下水脈でつながった小さな池。それが神の子池である。
じつは近年の調査で摩周湖と神の子池の水質は異なることが分かった。神の子ではなくなったわけだが、この池のほとりに立てば、科学的な根拠がどうであれ、これぞ神の子だと思わずにはいられない。
1日12,000tもの湧水に恵まれた神の子池は周囲220m、水深5m、水温は年間を通じてほぼ8度。裏摩周へと通ずる道の途中で分岐するやや荒れた林道を2kmほど進んだ先にたたずむ。

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水酸化銅の影響とされている水質は、光の加減で神秘的なエメラルドブルーに滲む。池底の倒木は腐らずに幾重にも交差して横たわり、水草がスローモーションのように揺れる。

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「魚がいる!」と、ひとりの若者が声を上げた。
 仲間たちは笑って相手にしない。若者は池に目を凝らし、やっぱりいる、と言って、ちいさな雪の塊を投げた。
「あれ、動かない」
「ほら、魚じゃないって」
 若者は残念そうに、なおも水中を見つめるが、仲間たちはもう行くよと言って歩きはじめた。
 琥珀色の水面に小さな波紋がゆっくりと広がって消えた。


 あとで調べてみると、神の子池にはオショロコマと呼ばれるエゾイワナが棲んでいるという。若者は正しかったのだ。

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アプローチルートとなる林道は未舗装でおよそ2km。ところどころ荒れている。観光化されていない場所だが、隠れパワースポットとして人気が高まり、未舗装ながらクルマ20台ほどの駐車場とトイレが設置された。ここも遠からず観光道路が通じ、大型バスが出入りするようになるのだろう。


<施設・設備>
駐車場、トイレ
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マークした場所は駐車場