【うらぎりいけ / 別所上池ダム(ダム便覧掲載名)】
ダムマニアを翻弄してきた幻のダム湖?
2019年の航空写真で改修工事による完全水抜きを確認しているが、これは大規模な改修工事によるものだった。
訪れた2021年には工事は終わっており、急傾斜の緊張感あふれる堰体とラビリンス堰実装の洪水吐を備えた、みごとなまでのオーラを放つ溜め池に会うことができた。
現地には「宮祇池」との石碑。「浦伐池」と地元では呼ばれ、「別所上池ダム」の名称は一部の地図の中にのみ見られるとダムマニア界重鎮の安部塁氏が記しているが、愛好家たちを翻弄してきた難敵ダムも過去のものに。
令和になって整備されたオフィシャルのため池データベースという便利なものもできた。調べてみると、登録名は「浦伐池(うらぎりいけ)」。堤高10m。
残念なことにオフィシャルデータでダム落ち決定。「別所上池ダム」として「ダム便覧」に掲載されていた池は幻に?
ただ、同じ大三島に大戸池という「ダム便覧」掲載ダムがあり、自身の足と目でハイダムらしき堤を持つ池も確認したが、オフィシャルデータベースには未登録(2022年現在)だったりするので、一縷の望みもないわけではない?
でも、冒頭の写真。一見、犬走に見えるコンクリート部。よく見ると底樋の出口らしきものが。であれば堤高は確かに10mほどか。
もともとの地形がかなり急峻なので、さらに下まで堤が続いているように見えてしまうし、洪水吐からのコンクリート導水路がぐっと下まで伸びているので余計に堤の基部が下にあるように見えてしまう。
いずれにせよ、クセありでおもしろい池ではないか。堤の上からは海が見え、翻れば奇岩の峰。
アプローチ路入口には古刹と道の駅があるので、900mほどあるが徒歩がおすすめ。