城のお堀を潤すのは、はるか東の猪苗代湖の水。
伊達、蒲生、上杉、保科、松平・・鶴ヶ城に居を構えた歴代城主の名を挙げていくと、この会津という地がどれだけ東北の要として世の為政者に重視されてきたかが分かる。
盆地の中央にある平城であるため天守閣の四方は立派な堀で固められている。じつはこのお堀の水は、温泉地のある東山を隔てた山向こうに広がる猪苗代湖の水を江戸時代に造られた用水路で、はるばる引いている。重機もない時代。水道トンネルも含め完成まで200年以上をかけた大工事であった。
最後の工事では、市街地東部の飯盛山をトンネルで突貫。この素掘りの水道用隧道は戊辰戦争の際に、会津藩の少年予備隊である白虎隊が抜け道として使い、城下町から上がる煙を見て「落城」と勘違いし、十代の十九名が自刃したという悲話の舞台でもある。
水道トンネルも用水も今なお現役で、お堀だけでなく、御薬園や市街のあちこちを清い音とともに潤している。
毎年2月初めには鶴ヶ城や御薬園など町のあちこちで伝統の絵ろうそくが灯される絵ろうそく祭りが開催され、雪景色をほのあたたかく彩る。
マークした場所は有料駐車場。