海上砂防池(かいしょうさぼういけ)。
これぞ砂防堰堤界のスターダム?
上高地ではない。ここは愛知の都市辺縁。瀬戸市街地から直線距離でわずか1.5km。鉄道の線路からも1.5kmの水辺である。
瀬戸大正池というのは愛称で、正式には海上砂防池という。その正式名からうかがえるように、いってみればただの砂防堰堤が作りだした水たまりにすぎない。
貯水ダムであれば水を蓄える池を形成することが主目的となるが、砂防堰堤にとって池の存在は、あろうがあるまいが、どうでもいいことである。
ところが砂防堰堤にも中には変わり種もいて、景観要素やレジャー用に池を積極的に活用しているものもある。ここで紹介する海上砂防池は、そんな変わり種の中でも、特に変わっている。
ここは農業用水の供給源としても活用されているだけでなく、農閑期の11月から3月にかけては毎年、完抜き(水を完全に抜くこと)まで行われるという北陸のため池群なみの池愛が貫かれ、ほんとうに砂防堰堤なのかと疑わずにはいられないほどである。
それだけではない。水面の上に立ち枯れた木々の姿が、かの信州上高地の表の顔である大正池に見立てられ、「瀬戸大正池」の愛称まで獲得するに至れば、砂防堰堤界のスターダム。畏れ入りました。
林道から分岐した先のアプローチ路。
海上砂防池まで、あと100m。狭い。
海上砂防池への途上にある里山ギャラリー。駐車はできない。林道はこの先、ダートとなる。
海上砂防池方面へは道幅が狭く、ハイカーが多いため、徒歩が推奨されている。入口にあたるこの場所にある駐車場が最後の駐車場。トイレあり。
案内板。
マークした場所は海上の森駐車場。トイレあり。徒歩で大正池まで1.5km、篠田砂防池まではおよそ4km。