せんりょういけ。
神の集まる島の、高級魚の集まる池
伊豆諸島への水配り神話の中心地、神津島。神々が集まる島として、昔は「神集島」とも書いたそうだ。
そんな島の南側の断崖海岸にあるのが千両池。海との間に開口部があり、池というよりは瓢箪形の入り江。なぜ「千両池」なのか。
池の形態と成因
現地の案内板によれば、千両池は火口跡に海水が浸入したもの。
海岸に立地する爆裂火口湖といえば、秋田県男鹿半島先端の三ノ目潟と戸賀湾が思い出されるが、千両池の方は規模も小さく岸が切り立っていて形態がまったく異なる。
千両池のポスター(郷土資料館で)
神津島に上陸したのは昼過ぎ。時間があったので町の郷土資料館に寄ってから、今浜の海岸を南へと歩く。
今回の島池たびは、社会人になって家を離れ二年になる娘もひさびさの参加。小さいころから池めぐりの助手をやってもらっていたが、今のところ、まったく池に興味はないようである。
郷土資料館では退屈きわまりないといった面持ちで、何かちょっと目を引く物がないかウィンドウショッピングでもするかのように歩いていた。
ここでは千両池についてあまり情報は見つからなかったが、千両池をあしらったポスターがあった。
「大沼」と「甌穴」の地名
資料のなかで地名を細かく記した地形模型があったが、「千両池」の名はどういうわけか記されていなかった。
この模型で「二七」「一ノ首」「二八」という地名に囲まれた場所が千両池である。
空港の上に「大沼」という地名があるが、ここには空港造成の調整池があるだけで、それらしき沼はない。沼地が調整池に改造されたと見るべきか。
また西海岸崖上の道の途中に「甌穴」という地名もあるが、道は通ったものの、それらしき池なりポットホールなりは見あたらなかった。
いざ千両池へ
舗装された道を南へと向かう。千両池を案内する道標はあまりなく、数回、分岐がある。右へ、右へ行ってくださいと宿の人に言われたとおりだった。アップダウンの連続で自転車だときつそう。
やがて千両池入口の道標が出てきた。
この道を進んでいくと海が見えた。ほどなく白い建物のトイレで舗装はおわり。駐車スペースのようになっている。
ここからは灯台方面と千両池方面への遊歩道がのびている。
千両池の由来
ここまで来てやっと千両池の由来について記された案内板が。
深い火口跡の入り江に夜になるとシマアジなどの高級魚が大量に入り込んできたので、開口部を網で塞ぐだけでごっそり獲ることができた。一夜にして一攫千金。千両池の名となったわけである。
ほか、江戸時代の輸送船である「千石船」の退避場所としても使われたとあった。
断崖下りはスリルまんてん
あまり情報がなかったので、千両池には階段で降りていくのかな、ぐらいに軽く考えていたが、これがなかなかのスリリングな行程。
崖の上から
千両池が見えたー! あそこまで下っていくのか・・。
ロープ場
うーん、これは想定外。娘は小さいころからこういう所は好きみたいで先行。妻は話が違うと顔を曇らせ足取り重い。
石段
柵が簡素でビビり腰。
アトラクションみたい
いいねー。
あと少し
妻はここで待っているという。あと少しなのに。
岩棚へ
池はもう目の前。矢印でシンプルにルートが。
千両池のようす
岸を構成する岩質がいろいろある。手前のヌラっとした白い岩の横には礫をくわえ込んだ黒い岩。右側は赤っぽい。
現在でも千両池の周辺は大物釣り場として名高いとのこと。島の人は、良型のシマアジが釣れると自分で食べず市場に売るんだとか。
シマアジは口が弱いから大型になるほど釣りあげるのが難しい。
島池さんぽマップ
Google マップ
マークした場所は、千両池への遊歩道入口。駐車スペースあり。