小田原城は豊臣秀吉の天下統一に最後まで抵抗した関東の雄、小田原北条氏の居城。その本丸、二の丸を取り囲んでいるお堀。
関東大震災ではお堀の石垣が崩れただけでなく津波にもひたされており、現在の堀は再建されたもの。当時の石垣は今のものより低かったそうだ。
早川で取水された水が小田原用水を通じて堀に引かれている。
ヒシモとヘラブナ(2022年6月)
ヒシモの小群落が発生
2018年にテレビ番組「池の水ぜんぶ抜く作戦」で水抜きをしてから四年になるが、池底にあったハスの再生は見られなかった。また水質の改善も限定的だった。
一方、ヒシモの小群落が池の各所に見られるようになった。これまでは確認したことのない群落だった。今後、爆発的に増えて池の様相が一変するのか注視していきたい。


鯉にまじってヘラブナ群
番組前はブラックバスの群泳も見られたが、その後、姿を見たことはない。鯉のほかにヘラブナも確認している。
2022年初夏、いつものように学橋のたもとで観光客からのエサを待っている鯉の群れがあったが、橋の日陰になったところにヘラブナ群を見つけた。夜は鯉の群れと入り乱れているが、昼間は接しながらもそれぞれの種の群れを守っていたのが印象的だった。
魚体を望遠レンズで確認すると、ヘラブナというよりマブナの体型のものもいる。30〜40センチで黒々としているが、それ以上に大きい個体は見つからなかった。
38年ぶりの掻い掘り(水抜き)で31尾のブラックバスを駆除。
2018年春からレギュラー番組となるテレビ東京の「池の水ぜんぶ抜く作戦」のレギュラー化初回の目玉として小田原城のお堀に白羽の矢があたった。
ちょうどこの冬、夜にお堀ばたを通りかかると光に集まった魚が気になっていた。鯉にまじって体形的にどうもへらぶならしきものがいた。何度か撮影したが暗くて確認にまで至らなかった。
そんなわけで今回の水抜きで、へらぶながいるのかを楽しみにしていた。水抜きでは外来魚駆除のほか、水生植物のオオカナダモの駆除が大きな目的のひとつと聞いた。
一般的に日本に生息する多くのコイは外来種とされ(※)、かいぼりを企画した番組もその立場をとっている。ヘラブナにしても小田原の在来種ではない。果たしてヘラブナとコイはどうなったのだろう。
2018年3月21日に実施されたかいぼりで捕獲された外来生物はブラックバス31尾のほか、北米原産のアカミミガメ1尾、中国原産のハナガメ1尾のみと、かなり少なかった。在来種では、モツゴ、ナマズ、ウナギが堀に戻されたとの新聞記事。しかしなぜかこの記事にはコイとフナについては一文字も言及がなかった。
かいぼりから一週間もたたないうちにお堀は再び満水となって桜の満開を迎えた。あまりの回復の早さに驚いたが、小田原城のお堀の水は早川から小田原用水を経由して引いていることをこのとき知った。そして何ごともなかったかのようにコイも泳いでいた。
※コイは遺伝子的に在来種と外来種があり、在来種は希少種との報告もある。また、ハナガメについても在来のニホンハナガメという近縁種があるがすでに絶滅している。




2009年の釣りによる外来魚駆除
2018年のテレビロケも近づいてくると、底が見えてきたお堀では、多くの人たちが身を乗り出してのぞきこんでいて、みなが楽しみにしているさまが伝わってきた。お堀の一角に、長らく姿を消していたハスの茎が現れてきたのも印象的な光景だった。
これまで小田原城のお堀では外来魚の駆除においては長らく効果を上げていなかった。
2009年11月に市の委託を受けたボランティアのアングラー7名が2時間半で60尾におよぶブラックバスを釣り上げた。最大は40センチであった。
それでも夏場には小魚を追うブラックバスの姿が見られた。35センチ程度のものも確認している。
特に釣り禁止という看板は見あたらないが、地元アングラーは観光客への配慮なのか自粛しているようであるが、たまに若者がキャストしているところを見かけることもある。
東堀跡
天守台の足もとに菖蒲園があるが、ここはもとは東堀と呼ばれる堀だった。





天守閣の改修(2016年)
2016年に半世紀ぶりの大改修が行われた天守閣は、入場有料であるが予想以上の観光客が押し寄せて観光業界や市を喜ばせている。堀の内側には無料のミニ動物園や、低料金のゴーカート乗り場、ミニエスエルもある。お堀ではボート遊びも楽しめる。
春には桜が藤の花が岸辺を彩り、毎年、五月の連休にはお堀に囲まれた城内広場で北条五大祭りが開催され、堀を出て城下町を練り歩く武者行列のほか、小田原中の神輿が結集する神輿パレードも行われる。




馬出門の改修(2014年)





お堀の四季
春
冬
ライトアップ
Googleマップ
関連動画
地区神輿PV(2015)
大神輿PV(2011)