水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

日光池(鳥取県鳥取)

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ふだんは広めの水路があるようにしか見えない水田地帯だが、冬になると広大な池の姿にもどる。

冬だけ池になるめずらしい潟湖。

冬以外は水を抜いて水田になってしまうという、まことにめずらしい池。
成因は海の内湾が砂州によって堰き止められてできる潟湖で、田んぼに水を張ったら池に見えましたなどという小手先の池ではなく、由緒正しい天然池である。
訪れたときは山に残雪の残る春先だったので、うまくいけば池から田に変身する途中の姿を見ることができるかと期待したが、池の中央を走る水路の改修工事を行っていたため、冬場も水を満たさなかったらしく、ただ水路と水田が広がっているだけだった。
池畔にあたる場所には杉谷神社があり、ここに日光池についての案内板と駐車スペースがある。案内板には日光池が水を満たしている状態の写真があった。いつか自分の目で見てみたい。
不思議な横穴もあるが、これは生姜穴(しょうがあな)といって池周辺で収穫される名産品の日光生姜を保存しておくための穴だという。ショウガ好きなので、次の池参りの際には日光ショウガも買ってみようと思う。
由緒ある池らしく、興味深い池伝説も伝わる。
池を水田にしたことによって池のヌシが海に逃げだし、「蛇鯨」なる奇妙な外見の魚となった。村人らはヌシの恨みを怖れて、日光大明神を建立したという。しかし、のちになって捕えた蛇鯨を食べたら、祟りでお腹を壊したという話も伝わっている。蛇鯨とは、実存するリュウグウノツカイなのだろうか。


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池の姿の日光池。下は駐車スペース、アプローチ路、ショウガ穴。
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ここら一帯が池になる。山陰線が通るあたりまで水面が広がる。


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池畔の杉谷神社と案内板。杉谷神社は戦国時代末期に、領主の亀井氏が日光池を干拓した際に建てられた。


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水路の改修工事中。写真に映っている一帯が冬場は日光池になるわけだが、この水門の操作で池になったり水田になったりするのだろうか。水を満たすには、やや高さが足りないような気もするし、どこが池と陸との境界になるのか、堤らしきものも判然としない。ぜひ池の状態の姿で確認したいものだ。
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「冬だけ池」がふつうの池にもどった水尻池が、日光池の2kmほど東にあります。地理的に近く地形や成因も似ているので、往年の日光池の姿を求めるなら水尻池に行けばヒントがありそうです。

bunbun.hatenablog.com


マークした場所は駐車スペース。