あさひだむ。旭貯水池。
発電アーチダムは秘境が似合う。
関西電力・奥吉野発電所における揚水式発電設備の下池。
紀伊半島最奥の十津川村に位置し、アクセス道は半島を縦断する国道168号。かつての酷道も大規模な改良工事が進み走りやすくなったとはいえ、高速道路空白地帯ゆえに長い山岳ドライブで分岐路へと至る。
分岐からも1〜1.5車線の舗装路を6kmほど進まねばならない。沢を両側からはさむ山の壁は高く300mはあろうか。この山に最初に生まれた小さな沢が、多雨地帯の勢いを借りて山を削りこみ奈落の谷をつくるのに、どれだけの時間がかかったのだろう。
薄さのきわだつドーム型アーチダムは谷の底に小さくへばりついているように見えてしまうが、ほんとうは堤高は86メートルもある。それだけ渓谷が大きい。
ここに本気で巨大ダムを造ろうと思えば、黒部ダム級の200mクラスのダムだって受け止められそうな地形だ。
朝日貯水池の左岸を2kmほど進んだ湖畔に旭エレハウスというダム資料館もあったが、現在は閉館しているようであった。
同名の発電専用ダムは福島県にもある。