その姿は、血を流しつつも立ち塞がる老兵のよう。
水力発電用として大正時代に築造された玉石貼りの重力式コンクリートダム。
上流にある黒又川第一・第二ダムは電源開発の所管であるが、こちらは東北電力。
堆砂の進行がかなり進んでいるものの、取水口が埋まらない限り本来の目的である発電に支障がでにくいため、そのままになっているのは発電専用ダム湖で全国的によく見られる光景。
そんな状態を見越してなのか、主堰体よりもはるかに長い洪水吐が寄り添っている。アースダムのような変わった構成。洪水吐の目の前が田んぼというのも何ともめずらしい光景で、何かと見ごたえのある構造。
池の方も堆砂が進んでいることで、木をのせた島を綴った景観を生みだし、これまた一興ともいえる。
土木遺産。
マークした場所は第一ダムのダムサイト駐車場。