水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

ヒマム池(長野県小諸)

ひまむいけ。
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ひまむ池、ヒマム池など平仮名・カタカナ表記されることも多く、ちょっと変わった名であるが、御牧原の野池群では長きにわたり東の横綱として君臨してきた。といっても周長は500メートル。ほどよく見渡せる野池らしい野池といったおもむきである。
これが200以上ある池群の頂点というのも、浅間山の火山灰台地が、いかに池造りには厳しい土地なのかを示している。
ヒマム池の築造は江戸時代。千間無池、旱間無池、干間無池、乾間無池などの表記も見られ、誤表記も含めやや混乱気味である。
「旱」「干」「乾」は水がない状態、そんな時間(間)が「無」いようにとの祈りが、ひまむ、の名になったか。
「千間無」はおそらく「干間無池」の誤表記が広まったものだろう。現地の水神には「旱間無池」と彫られているとの話もあったが、現場に立ってみると養魚池のため立入禁止の看板があり、自分の目で確認することはできなかった。
ここではなぜか御牧原野池共通スタイルの看板ではなく、「つり禁止」と「キケン」の二つの独自看板が池畔に立つ。どちらの看板にも「ヒマム池」と記されていたから、とりあえず当ブログではカタカナ表記とした。
御牧原の溜め池では、各所に魚の養殖用と思われる設備や道具が据えられていたが、果たして養殖用か確証がなかった。海川から遠い台地の貴重な魚肉タンパク質の供給源として、溜め池を活用していた可能性は高いとは思っていたが、ここに来てようやく養殖池の実例を得た。
2014年、現代工法によって南700mの台地上に造成された「みまき大池」の完成によって、ヒマム池は御牧原最大の溜め池の地位を譲ることになる。

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