水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

下長尾池(滋賀県大津)

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池のかたわらに安置された昔の底樋。池を先人たちから受け継いだ宝として大切にする思いがくみとれる

「タンタンタメロ」の口伝と、池から掘り出された地蔵

瀬田公園内にある三つの池のひとつ。
地蔵池という別名もあるこの下長尾池が公園の顔役のような存在で、駐車場から降り立てば目の前が池の堰体側になっており、遊歩道で池を一周できる手軽さがある。
まず理屈抜きに、ああ、いい池だなと思えるのは、公園化にあたっての設計のよさもあるが、何より長く溜め池として大切にされてきたバックボーンが大きい。池の随所に見られる愛。
昔は日照りがつづくと、村人たちが集まって池のお地蔵さんに「タンタンタメロ」と口々に言って雨乞いしたとの言い伝えが残るが、実際に池から二体の地蔵が掘り出され、言い伝えが事実だったことが裏付けられた。地蔵は遊歩道の一角に祀られている。
公園化に際して改造されたのだろうか、右岸側はゆるやかな傾斜の草地がすべり込み、岬から弧を描く池岸がたおやかで、とても親しみやすい。
ただ、水抜きでも行ったのだろうか。水面を動かす魚の気配はほとんどない。一度だけ静まった鏡が、魚の動きで揺れるのを見たが、あとはまた静まりかえってしまった。
時折、金属音とともに新幹線が通過する。池ごしの新幹線はなかなか絵になる構図だが、高架の防音壁が高いため新幹線撮影スポット池というには、あと一歩惜しい感じ。
公園池となった今も毎年8月23日に地元水利組合が感謝祭を行っているという。

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草地がなだらかに水ぎわにすべり込む岸が素敵
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堰体脇に安置された、石をくり抜いた古い底樋。真ん中の穴に、木の栓を打ち込んで使った
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下長尾池の中から見つかったという二体の地蔵は、湖周遊歩道の一角に安置されている
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池畔のボードウォークには、赤いクワガタのようなヒラズゲンセイという毒虫に注意との掲示


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魚が残した鋭い波紋


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大きめの石と芝で覆われた堰体の前法面。奥に見えるのはショッピングモール


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駐車場と案内板。駐車場の後ろに見えるのは新幹線高架


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マークした場所は、瀬田公園の駐車場。