採石跡湖。
竪穴を満たす廃墟ブルーと、異次元トリップの採石跡湖。
瀬戸内海に浮かぶ小さな離島、北木島。岡山県の笠岡港からフェリーか旅客船でおよそ1時間。船内には地元や仕事の人ばかりで、古びた船内の装飾やカレンダーも手作り感があって旅情が高まる。
北木島は昔から良質の石材を産出する石切りの島だが、深く掘られた採石場跡にいつしか水がたまり、「丁場湖」と呼ばれる池ができあがった。丁場とは採石場の意。
Googleマップで「採石跡湖」とマークアップされた場所に行ってみる。集落を抜ける狭い路地の途上に、荒れ果てて草ぼうぼうの入口を見つけた。石碑には「馬越採石場」、そのたもとの案内柱には「馬越丁場跡」と記されていた。
入っていいのだろうか思ってしまうほどの濃厚な現場感。つい最近まで操業していたかのよう。奥に進むと切り立った崖の下にブルーの水面が現れた。
深い水の色は吸い込まれるように静謐。放棄され錆びたクレーンが湖上に突き出し、言いようのない廃墟感に包まれた異次元空間だった。
島内には他にもたくさんの採石跡湖が存在するので、今後の識別のため、とりあえずこの池を馬越丁場湖と銘打つ。