ひょうたんいけ。浅草公園。
大歓楽街として賑わった日本初の都市公園の池。
現在の場外競馬場ウインズ浅草のあったあたりには瓢箪池という公園池があり、周辺は浅草六区という当世一の大歓楽街だった。池には中の島があり橋と堤で渡ることができ、閑静な雰囲気の建物もあった。
一方、池沿いの道にはつねに露店が並び、表通りの方には和洋折衷というか、まるでテーマパークのような望楼閣が天をついていた。
特に瓢箪池を前景に凌雲閣をのぞむ景観は、絵はがきとしても人気だったそうだ。
凌雲閣は「浅草十二階」の愛称で親しまれ、日本初の電動式エレベーターを備えた建物でもあった。しかし関東大震災によって崩落。展望台の見物客は看板に引っかかった1名をのぞいて亡くなった。
瓢箪池の対岸側から浅草寺にかけての一帯は、昭和22年まで浅草公園が広がり、瓢箪池を景観要素として取り込んでいた。同公園は日本初の都市公園でもあった。
池岸の一方が私娼窟も密集する歓楽街、一方が都市公園、また一方は高層建築というカオスな立地が魅力の池だったが、昭和26年に埋め立てられた。
今はコンクリートの建物の垂直な壁が並ぶ街路となっており池の面影はないが、一歩、路地に入ると往時の残り香が漂う。