日本屈指の効率的ダムめぐりスポット
「ダム便覧」において、にわかには目を疑うダム群落が神戸にある。
井吹台ダム群、とでも言おうか。
地図を見ると高台に造成されたニュータウン。ここに住宅地と隣り合うように池の区画が設けられている。それ自体はニュータウンにおける造成調整池なので全国的に一般的な池群だ。
しかし全国で唯一、ひとつのニュータウンの中に六基のダム群が「ダム便覧」に登録されているのである。
徒歩1〜2時間で6基ものダムをめぐることができる?!・・そんなダム効率なスポットはここをおいて他にない。いったいどういうことなのか。とにかく現地を見てみたい。
拠点となりそうなのは、室谷ダム。池横にバーベキュー場と駐車場、トイレがある。まずはここへ針路をとった。
新池ダム
路駐で周辺をざっと歩いてみるも、立入禁止・釣り禁止看板のあるフェンスとゲートで池を拝むことさえままならず。
徒歩攻略に切り替えるため、とりあえず駐車場のある室谷ダムへ移動。
室谷ダム
正方形に近く、掘り込みタイプの池。どうみても調整池で、どこがダムなのか見た目では分からない。
池は立入禁止・釣り禁止看板あり。
クルマを置いて徒歩で次の池へと行ってみる。
大戸口ダム
造成調整池にしか見えないが、取水設備の三連スピンドルハンドルを発見。取水設備があるということは、貯水機能を持っているか、過去に持っていたということ。
おもしろくなってきた。
永井谷ダム
大戸口ダムから歩いて数分。ここでは越流堰タイプの洪水吐と、取水設備の三連スピンドルハンドルを発見。
やはり、ただの造成調整池にあらず、溜め池の構造を持っていることが分かった。
小池ダム
レンガ風のオリフィス塔ビルトイン型の洪水吐をもつ堰体法面があった。
どうやら現在、四車線道路になっているところが、かつてのダム天端だったようだ。
やっとダム群の全貌が見えてきた。
なぜ奇妙なダム群が形成されたのか
四角い調整池のようなダム群をめぐり歩いてみて、溜め池の痕跡を残した池が多いことと、なんでもかんでもダムといっているわけではなく、「ダム」と「池」が混在し、ダムの湛水面は低く、池は高めだった。
これは現在、防災調整池としての役割が高いために、おのずと堰体高を湛水面の高さが反映しているものと推測した。