【摺鉢池】
南北に20kmに渡って峰を連ねる八ヶ岳連峰は、ひとつの山塊としてはあまりに大きすぎるのか、夏沢峠を境に北ヤツと南ヤツとに分けて呼ぶ向きもある。
南ヤツの峰々の方が全体的に標高が高く、荒々しく険しい。北ヤツの方は峰と峰のあいだに大小の山池をのせた天空テラスが垣間見え、池さんぽにはうってつけの一大伽藍を形成している。
その中で日本二百名山・天狗岳の北側、中山峠のかたわらにある山池がスリバチ池だ。
標高2,400mほどの鞍部に、古い噴火口を思わせる楕円丘があり、中は浅くスリバチ状にくぼんでいて、底にハイマツ、コケモモ、ミネズオウといった高山植物の褥を敷き詰めた天狗ノ奥庭が広がる。そのへりの一角が三日月形にえぐれた岩礫帯になっており、これがスリバチ池のゆりかごというわけである。
スリバチ池の外輪直下は中山峠と黒百合ヒュッテがあり、池西側のスリバチの縁を天狗岳(日本二百名山)への登山路が通っている。
訪れた際は水がない状態だった。地形的に水源はほぼ天水によるしかなさそう。水量が少ないらしく明瞭な流出口もない。
天狗岳の頂上に登れば、池と下界の絶景を得られる。