離島の対馬を横断するように流れる佐須川の河口に、漁港がある。
港のかたわらに、まるで盲腸のように内地に食い込んだ周囲長250mほどの池を地図で見つけた。
小茂田濱神社が隣接していたことから、あるいは寺社池だろうかと思って現地にのぞんだが、神社とは関係なさそうだった。
池は掘り込みタイプで岸の半分はコンクリートの垂直護岸、半分はアシが密生している。
対馬では、海岸近くにこのようなタイプの池がいくつかある。溜め池との説明板が設置されているものもあったので、港湾と道一本はさんだだけの立地だが、この池も溜め池の可能性もある。
しかし、池と港の通水部に意外なものが。調整池に見られるオリフィスだった。
ふつうは池側にあるのだが、港湾側に据えられている。
歩いていたおじさんに話を訊いてみると、はっきりは分からないと前置きしつつも、高潮のときなど、港から海水があふれるのを防ぐための調整池でないかということだった。
なるほどそれなら港湾側のオリフィスの説明もつく。
あたりを歩くと、銅像、神社、案内板があった。
このあたりは元寇の際、日本を守る最初の防衛ラインとなった。2万人の兵をのせた九百隻もの軍艦が水平線を埋め、急襲してきた千人の上陸部隊に対し、迎え討つ対馬の防衛隊はわずか八十騎だった。