二つの異なる名前と、伏見稲荷七不思議
京都・伏見稲荷大社の境内入口で参拝者を迎えるようにたたずむ池で、庭園池というレベルではないにせよ手入れがされている。
斜向かいに産場稲荷があることから「おさんば池(お産場池)」という通称がついたようだが、現地にあった二種類の案内マップ看板には「八嶋(島)ヶ池」と記されていた。
これも池岸の南西側に大八島社という神社があるから。スケールからいえば大八島社が圧巻。なんといっても「大八島」は「日本列島」の古い呼び方。社殿はなく、この大地、つまり日本列島そのものがご神体という禅問答のような破格のスケールなのである。
そんなわけで「八島ヶ池」の登録名で稲荷伏見の七不思議のひとつにランクインされている。V字型の池で、一方の流れ込みは水路、もう一方は庭園滝という仕様。
冒頭の写真は吐き出し側から見ている。この石畳風の吐き出し口は調整池のオリフィスのようなものだろうか。石畳調のオリフィスなんてものは一度も見たことがないので、きわめてレアものといえそう。
この池の名をひとつに絞るとすれば「八嶋ヶ池(八島ヶ池)」(現地道標には「ヶ」のない「八嶋池」の表記もあった)の方を採るべきかもしれないが、同名の池が長野県霧ヶ峰にもあるので、親しみやすい「おさんば池」の名をページタイトルに付した。