遊水池と調整池と、ちょっとだけ調節池の話
お仕事の帰りに遠まわりして知らない駅で降りる。知らない町を歩いて調整池さんぽ。
しかし調整池はなんともマニアックで、10池、20池とめぐってみても、なかなかここでお伝えできるような分かりやすい魅力を見いだしにくい。
そもそも調整池の分かりにくさは、その名前にもある。
横浜は230もの調整池を抱える調整池ホットゾーンだが、自治体によって造られたものには「遊水池」と名付ける傾向が過去にはあったようだ。
しかし最近、遊水池という言葉は「河川に恒久的に設けられた公的貯留設備」という意味で定義されるようになり、横浜市でも過去にたくさん作ってしまった看板の「遊水池」の文字をシールで隠したり、調整池と上書きする流れにある。
じつは同じ機能をもつ調整池でも、民間事業者が設置した一時貯留施設を「調整池」、自治体が設置した恒久施設を「調節池」とする慣例が増えていることから、横浜市が進めている「遊水池→調整池」の名称の張り替えも、将来的にはさらにシールを貼り増しして「調整池→調節池」になるかもしれない。今のうちに基準統一した方がよさそうに思うのだが、なかなか全国統一基準の号令が上がらない。
上に目隠し事例を3つ挙げたが、このケースでは白いシールで「遊水池」の文字を隠しただけのように見える。調整池とするべきか調節池とするべきか悩んだ挙句、とりあえず空白のままにしておこうということになったのか定かではないが、もともと長めの名称だったので「遊水池」を隠したところで、「大葉第二」「大葉第一1号」と呼んでも違和感なく通じそうである。
しかし振り返ってこの「A遊水池」。
同じように目隠しシールを貼ったら、ただの「A」になる。
これはいささか問題というか、「あの団地のとこのAだけどさ・・」と言っても、池の話なのか、言いたくない隠語なのか、よく分からない。
団地横の駐車場下に設けられた地下貯留式の池であり、管理者が住宅管理組合という民間団体なので、書き換えをするなら「調整池」で問題なさそうだが。
少し歩くと出てきた。B遊水池。
こちらは地下式ではなくオープン式の調整池。
ちなみに調整池の場合は一時的な貯留施設という位置づけなので、のちに排水路の拡充がなされるなど調整池が不要と認められた場合は撤去が可能である。一方、「調節池」は恒久施設なので撤去はできない。
このB遊水池と道路をはさんで向かい側は病院になっていたが、この病院の駐車場にまたもや池の標識が。
こちらはちゃんと最初から「調整池」なっている!
なるほど。病院造成時に駐車場の地下に調整池を設置したというわけ。管理者は病院ですね。
このように都市は公園や駐車場など、あちこちに洪水を防ぐための池が控えている。
コロナで遠出もできない2020年のゴールデンウィーク。町中に住んでいる方は、こんな機会に自宅の近くの調整池さんぽをしてみてください。