上水道ダムの代替池・・「原水調整池」
日本一長い堰体をもつ農業用ダムである底原ダムと同じ於茂登岳山系に、みごとな集水地形がある。
名蔵川の上流、「白水」と呼ばれる地点は、豊かな水を利用した大規模な養殖池もあった。
山と川に恵まれた石垣島には5つのダムがある。ただし4つは農業用ダムで、上水道用のダムはひとつだけ。供給不足解消の白羽の矢があたったのは、ここ白水だった。
この集水地形を堰くには長い堰体が必要になりそうだが、近所に1km以上もの堰体をもつ底原ダムがあり、いいお手本。しかしここに計画された「白水ダム」は幻に終わり、かわりに「原水調整池」なる直径100mほどの真円の池が設けられた。
隣には天然池のような池も見られる。
また500m北西の高台にはタンク式のファームポンドらしき池もある。
調整池敷地はフェンスで囲まれ立入禁止。空撮でなければ池を見ることはかなわなかった。
以下、八重山毎日新聞より。
原水調整池は、2001年5月の白水ダム建設中止に伴い、代替施設として計画された。白水の水源地から取水した水を原水調整池5基(30万立法㍍)に流入・貯留することで、安定的な取水と供給を行うのが目的。2003~11年度までに総額158億円(国庫補助2分の1)を投入して5基を整備する計画を立て、2007年度に1号池を完成させたが、2号池以降については監視委から「多額の経費が必要となり、企業債の増発が後年度の財政運営を圧迫し、水道料金の改定に及ぼす影響が大」との指摘を受けていた。
その後、渇水に伴って2011年8月26~9月3日、2014年11月20~28日の2回にわたり、午後11時から翌午前6時まで給水停止を余儀なくされた。断水時間はそれぞれ63時間に及び、市民生活や商業施設の営業に影響を与えた。
また、北千葉広域水道事業団のサイトには「原水調整池」について以下の解説があった。太字は筆者が施した。
「水道用水供給事業において、送水量の調整や異常時の対応を目的として浄水を貯留する池。 送水施設の一部であり、送水施設の途中または末端に設置される。 なお、取水施設と浄水施設の間で原水を貯留する池は原水調整池という。
なるほど〜。
上水道用の池なのに蓋がないのは、浄水場に送る前の水を貯留しているからだった。