淡路島北側の海岸近くにある池だが、ちょっと特殊な池である。池端にはいかめしい建屋。その門扉には「慶野釜池機場」と掲げられている。正式には「慶野釜池排水機場」。
山側は自然護岸だが海側はコンクリートと機械設備。ごっついブラックの鋼管が建屋から土中を通して池へ。浜辺に出ると、ダム穴タイプの洪水吐のようなものが海に突き出している。池からの排水が砂浜の下を経てここにつながっているようだ。海面より上に突き出しているのは、海水の逆流を防ぐためだろうか。奥深し。
農地に入る水は「用水」として崇められるが、出る水は「悪水」と呼ばれる。水を入れることばかりに目がいくが、じつは悪水をすみやかに排出することも同じぐらい大事なのだ。建屋にはポンプ設備が格納されている。
隣には白砂青松の浜辺と瀟洒なレストラン。近くに6台分の駐車スペース。そういえば30年近く前だったか、オートバイでここにようやくたどり着き、無人のキャンプ場に泊まったことがある。誰ひとりいないキャンプ場。一人で不安だったが、近くの定食屋でようやくありつけた食事。ワカメの味噌汁が信じられぬほど美味かった。