水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

横下貯留池(千葉県鎌ヶ谷)

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みごとなまでにクールな全方位コンクリート張りの調整池。一般的にこういった調整池は土地開発に伴う洪水対策として1haを越える宅地や施設を造成する場合に、規模に応じた設置が条例などで指示されている。
この池は調整池の中でもプール型と呼ばれるタイプ。これぞ宅地造成調整池の見本のような調整池と思うかもしれないが、細部をよく見ればプール型らしい特徴を見ることができる。
目を惹くのは右手に見える導流部。カラフルな宅地との間には実は一本、河川(水路)が通っている。一定の高さより水位が上がると、幅のある越流堤を経て調整池内に水が流れ込む。
溜まった水の排水は小規模調整池の場合、管理上の理由から自然越流、自然流下が採用されることが多い。水門式など調節が必要なものは条例で禁止されることも。
調整池のシンボル的な排水設備「オリフィス塔」が見あたらない。と思ったらプール型調整池には塔スタイルの非常用洪水吐は設置しないとの指針も他県の調整池設置ガイドラインに見られた。
プールの底が奥に向かって深くなっているので、最奥部に見えるスリットの中に越流堤が設けられているはずである。
調整池の設計は数式ずくめ。効率と合理と安全の最大公約数を、さまざまな変数を代入して導き出していく、そんな理系顔が素敵でもある。
池名が分からないのが少し残念だったが、池岸に「横下」というバス停があったので、とりあえず仮称とした。

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