水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

めじかの里土佐清水の池(仮称)(高知県土佐清水)

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「めじか」という言葉には、私にとって甘美な響きがある。高知を離れてから三十年ほどはその名を見ることはほとんどなかったが、最近、高知西部では積極的にメジカを売り出し、ついに道の駅の名前にもなっていた。なんのことはない、ソウダカツオのことである。
道の駅の敷地内に、国道に面した目を引く池があった。池は何の池だろうか。明瞭な堤構造は見てとれないが、公園池にも見えない。国道側にコンクリート製の洪水吐があった。地形を見ると、どうも国道が堰体天端になっているようだ。近くに谷池タイプの溜め池もあるし、ここも農業用水の池だったのだろう。
小学生のときにこのあたりに家族旅行で来た。宿毛湾の方で、大人といっしょに舟釣りをして入れ食いだった記憶がある。こちらが5〜6本のサビキ針に鈴なりのメジカと格闘していたとき、弟が明らかに異なる強烈な引きの一尾をかけた。
地元のおじさんが確か「スマ!」と言っていたのを思いだして調べてみた。めずらしく記憶に違わず、スマという魚が出てきた。メジカと同じくカツオの仲間ではあるが、じゃんじゃん釣れるメジカと違って大群をなさず、引きが強く味もよい高級なカツオということだ。
最後の最後に弟はスマをバラしてしまった。しかし半月を描いて海面をつつく竿先、懸命の弟が海に落ちてしまうのではないかと思ったあのときの映像は今も鮮やかに胸のうちにある。

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道路側にコンクリート製の洪水吐