水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

加古大池(兵庫県加古)

いなみ野ため池ミュージアム。中池、跡池、五軒屋池、大池。


野池群がそのままミュージアム。これぞ、ため池の別天地。

兵庫県は全国21万余のため池の四分の一近くを保有するため池王国。この王国の中でも有数の池密集ゾーンがこの一帯、東播エリアである。
神戸市の隣という立地のため都市化が進むが、多くのため池が埋め立てられずに残されているのがうれしい。
加古大池は東播地方のため池のシンボルとして、いなみ野ため池ミュージアムの主要構成要素として整備され、展示資料館や駐車場、各種案内板が用意されている。
同ミュージアムは、全国ため池100選、文化的景観180カ所、関西自然に親しむ風景100選、近代化産業遺産、疏水百選に選定。



真向かいの北池とともに、釣り、カヤック、ウィンドサーフィンなど、とにかく自由なため池。

ただのミュージアムにあらず! ウィンドサーフィン、カヤック、バス、へらぶな釣りも。

まず池の形状がみごとだ。平地に堤を築いた皿池であるが、コンクリート護岸と自然護岸のバランスがよく、弁財天をいただいた中の島を浮かべ、池全体を三分割するかのように細長い堤がのびているから面積に対して岸が長い。(実際には、大池、中池、跡池、五軒屋池の四つの池の集合体。北池とも通水する)遊歩道の総延長は5kmにおよぶ。

加古大池の向かい側の北池で竿を出す。

なだからかな草地の岸辺は水面との比高が小さくビーチのようにやさしい。水面のすぐ近くまでクルマを寄せられるため、ウィンドサーフィン、カヤックといったウォーターレジャーにも最適。親切にも親水護岸もカヤック等の出艇に使うことが公認されている。こんな太っ腹な池は見たことがない!

ビーチのような親水護岸。


景観保全や自然保護もため池の重要な機能であり、ミュージアムと銘打つ以上、野鳥保護の姿勢も厳しく問われていることだろう。しかしこの加古大池、ウォーターレジャーで開放されているだけでも驚きだが、ミュージアムだからといって安易に釣り禁止にしたりはしていない。
岸には、へらぶな釣り師や鯉釣り師、バサーなどたくさんの釣り人が並ぶ。さまざまなアプローチを通じて池の奥深さを知ってもらおうというミュージアムのコンセプトの本気を感じる。きっと釣り人の方もマナーで応えているのだろう。この良好な池と人との関係が、他のよき手本として永続させてほしいと切に願う。

弁天をまつった中の島とコンクリート護岸部。



ため池ミュージアム


案内マップ

bunbun.hatenablog.com


マークした場所が、クルマの場合の池への入口。