【いわぶこ / 岩婦溜池】
房総における「溜池」文化の飛び地
池岸を伝う細い道から木々に囲まれた湖面を見渡すと、岩盤むきだしの岬が目をひく。その突端には小さな石祠が。「岩婦湖」の名称の起源と何か因果がありそうな不思議な存在感がある。
内房でもっとも好きな里池のひとつ。
岩婦湖は正式名は岩婦溜池。かんがい用として江戸時代に築造され、最大水深は8m。ぎりぎり「湖」と呼べそうだが、やっぱり「池」感が強い。
池文化として興味深いのは、この岩婦溜池よりも南の池群は、房総の池特有の「堰(せき)」の名が付けられている。東も北も「堰」エリアとなり、この一帯だけが「溜池」の名を持つ。なぜか? いつか深掘りしてみたいテーマだ。
ああ、岩婦温泉が廃業
湖畔には湯治場のような秘境感を味わえる2軒の温泉宿があったが、2022年の再訪時にはいずれも廃業となっていてショック。
かつては、へらぶな、ブラックバスを狙う釣り人が訪れ、貸しボートもあったようだが、2007年に工事で完全に水抜きし、その際に魚の保護は行わなかったとのこと。よってブラックバスはもちろん、良型のへらぶなたちはどうなったか。
釣りはご遠慮くださいモードに
もともとはヘラブナ釣りができる池として雑誌にも紹介されていた。2014年の初訪時は「釣人の皆様へ」という案内板もあったが、2022年の再訪時にはこの看板のかわりに「農業用施設のため釣り等のレジャーはご遠慮ください」との掲示が。ショック。
魚影が木陰に
池畔の木陰に妻とクルマを残し、ぼんやり日向で池と憩っていたところ、温泉宿のおかみさんらしき人からクルマを動かしてと言われた。廃業して誰もいないのかと思いこんでいたので意表をつかれるかっこうになったが、親切にも下にある宿の駐車場に停めていいからと言ってもらって移動。釣り人にそこかしこに路上駐車されて迷惑しているとの話だった。
湖のまわりには7.5kmのハイキングコースがあったが現在はどうなったか。
池をのぞくと、これだけのハイプレッシャーのなかでも、ちゃっかりブラックバスが葉っぱの影からじっとこちらを見ている。レンズを向けると、ゆらっと逃げるが、すぐまた戻ってきてくる。そうとう人馴れしているとみた。
空から見た岩婦湖
特に洪水吐、取水設備をクローズアップ。
それにしても、惚れ惚れするまでのブーメランなイケ地形!
アクセス
アプローチ路は1.5車線舗装路。