大峰沼湿原。
山腹にある湿原状の沼には、厚さ8.6mの巨大な浮き島が貴重植物をのせる。
大峰山というと深田久弥の『日本百名山』に採り上げられ、その書き出しで、「大峰山はわが国で最も古い歴史を持った山である。」と記され、現在では世界遺産の構成要素にもなった修験の山を思い浮かべるが、ここで採り上げるのはまったく別、群馬県にある標高1,254mの大峰山である。
こちらの大峰山は登山者にとってもマイナーな山だが、歴史をひもとけば神話の日本武尊(やまとたける)も登場するすごい場所なのである。
その山腹、といっても1,000mあたりだから、かなり頂に近いところに大峰沼はある。軽登山が必要でアクセスしにくそうな場所だったことと、夏期はヤマビルが降ってくるということだったので、これまで近くを通りながらもなかなか行けなかった水辺である。
県道から分岐する大峰山登山口への林道はやや荒れているが、1.5kmほどで大峰山登山口駐車場に着く。
ここからは登山路。とはいっても大峰沼までは歩きやすく整備されている。許可車であれば軽トラックも通れるスペックの道なので軽装でも問題ないが、夏期はヤマビルが上から襲ってくるのでそれなりの覚悟が必要。
アオモリガエルが自生するという古沼への分岐を経て、30分ほどひたすら登っていくと、視界が開け、大峰沼が現れた。
周囲約1kmの沼の中に浮かぶ、厚さ8.6mの泥炭層をもつ巨大な浮島は高層湿原を形成し、サワギキョウ、ワレコケモモなど貴重な保護植物をのせている。
植物保護地区のため浮島に上がることはできないものの、沼周囲には遊歩道があり、一周20分ほど。
池畔の石碑と山荘。
ハイキング路案内看板。「ヤマビル」の文字が消えかかっているが、注意が促されている。
駐車場と案内板。
大峰山の鳥獣保護区指定図。林道と沼との位置関係が分かる。
マークした場所は大峰山登山口駐車場。