水辺遍路

実踏・日本の湖沼 8,600湖

種蒔苗代(青森県弘前)

【たねまきなわしろ。岩木山】

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岩木山の山池(ver1.0ラフ)

津軽富士とも呼ばれる岩木山(1,625m)は青森県の最高峰であり、百名山にもなっている。
遠望すると、すっきりと美しく裾を引く形状であるのに、その山頂は度重なる火山活動の激しさを思わせる混沌ぶりを見せる。
一般的にその頂は鳥海、岩木、巌鬼(がんき)三つの峰でなるとされるが、中央の岩木以外は、襟巻きのように取り巻く外輪山の峰々の二峰にすぎない。
長野の乗鞍もそうだったが、その山肩に立ったとき、いくつもの峰に取り囲まれた大伽藍のような峻烈な地形に畏敬の念を抱いた。ふくよかな高原を抱く乗鞍だけに、地上から眺めている限り、その姿は想像しえない。その峰々の鞍部には、いくつもの池がたたずんでいた。

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登山リフトの九合目の駅横にも、池の形状をもった火口跡らしきものがあった


岩木山には、もともと直径800mもの火口があり、あるいは巨大火口湖を形成していたかもしれないが、山体崩壊が激しく痕跡をとどめていない。
種蒔苗代は岩木山の頂にある火口跡群の中では、唯一、池らしい穏やかな水面(みなも)をたたえている。
それなのに登山道から見て表にある「鳥ノ海」という、今は水のない池に満足し、すぐ裏手に控えていた種蒔苗代を見ずに下山してしまった。何たることだ。
帰ってきてから大事な見落としに気づくことは始終あり、そこが低きをめざす池の難しさでありおもしろさである、なんて強弁してみても、やっぱり悔しいものは悔しい。
津軽岩木スカイラインと登山リフトを使えば、鳥ノ海も種蒔苗代もあっという間に着く。便利ではあるが往復でしめて3千円ほどするので、おいそれとは行けない。
完全自力登山するのであれば、岩木山神社からの登山路を使えば、途中で種蒔苗代を通るので見落としはないだろう。一方、鳥ノ海の見落としに注意。
そういえば『日本百名山』の作者・深田久弥も、岩木山の項で鳥ノ海には触れているものの、種蒔苗代には触れていない。
往路は嶽温泉ルート、帰路は種蒔苗代を通る岩木山神社ルートをとっているから、このオアシスのような池を見落とすはずがない。当時は氷雪に埋もれた雪代になっていたのか。


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有料道路入口でもらったこのパンフの裏に、種蒔苗代が写真付きで出ていた・・


マークした場所は八合目にある有料道路終点の駐車場。