さるたにだむ。猿谷貯水池。
山深い。紀伊半島はまさに日本に最後に残された陸の孤島だ。未完成に終わり幻の鉄道となった五新線の終着駅が、ここ猿谷ダムの湖畔。
人里離れた山深くの大型ダムは電力会社の水力発電専用ダムが相場だが、猿谷ダムは国直轄。
国交省が管理するダムで洪水調節機能をもたないのは北海道の芦別ダムとここしかない。人が住んでいなければ、洪水調節する必要もないということか。
山深くとはいえ紀伊半島を縦断する国道168号は整備も進み走りやすくなった。ダムは国道沿いにあるし、国道をダム湖に沿って上っていけば日帰り温泉を備えた道の駅まである。マイカーで手軽に秘境ダムの雰囲気を味わえる。
このダム湖では釣りもできる。対象魚はブラックバスとへらぶな、鯉。堰体周囲など一部、漁業禁止エリアもあるが、釣りがしやすいように整備された階段状護岸があるので便利だ。
この階段状護岸は、五新鉄道の終着駅になるはずだった国道沿いのトンネル横にある。このトンネルは現在、大阪大学が地下観測所として使っており、かつては釣り人の駐車スペースになっていた場所はポールが立てられ入れないようになっていた。このため階段状護岸への入釣者の駐車キャパシティは激減してしまった。
へらぶなと鯉は漁協によって放流もされているというが、魚影が濃いとまではいえない。それでも運がよければ、まるい太鼓のようなへらぶなが釣れるというから、いつか竿を出してみたいと思っていた。
そんなことで2018年初夏に再訪したところ、増水で階段状護岸は水没していてがっかり。それでも気合で釣り台を設置している釣り師も見られた。
湖面をのぞくと、オイカワと巨鯉がいた。
入漁料は日券が1,000円。現場徴収は倍額。
ダムサイトに駐車場、トイレあり。夜間の見学は不可。
マークした場所は幻の五新鉄道の終点で駐車スペースあり。