庄和排水機場。龍Q館。
インフラツーリズムの火付け役となった地下神殿の池。
いってみれば首都を洪水から守る調整池の一種であるが、湖周500m級、深さ18m、総工費2300億円もの池が地下にあったら?
それを体現したのが首都圏外郭放水路の調圧水槽。
首都に流れ込む各河川の近くに設けられた直径30mもの巨大な立坑(たてこう)から流れ込んだ越水は地下トンネルを通じてこの池に集められる。池には激しく流れ込む水の勢いを減衰させる役割がある。調圧水槽という名はそこから来ていると思われるが、ダムに見られる減勢池の役割と貯水機能を合わせもっている。
ガスタービンエンジンのポンプによって水はすみやかに江戸川に流され、各放水路と連携しながら首都圏に流れ込む水の量をならす。
キャパシティを越えた分は大吉調節池、松伏調整池、大相模調節池で受け止めるネットワークが築かれ万全を期す。
庄和排水機場は地底探検ミュージアム「龍Q館」という親しみやすい名で一般公開も意識した施設となっている。
屋外では放水トンネル建設に使われた実物大のシールドマシンの大きさにまず驚く。建屋の横にある多目的グラウンドは、巨大地下池のフタのようなもので、この広さの池が地下にあると思うとすごい。グラウンドの端には地下池につながる立坑もある。
その威容から「地下神殿」という名で呼ばれるようになった調圧水槽もほぼ毎日見学会が催されているが事前予約が必要。従来は無料だったが、あまりの人気のせいか2018年夏からは民間旅行会社に一般向けの公開に伴うガイド業務を委託し(社会実験中)、見学は有料となった。
116の階段を降りていった先の地下神殿のような空間は、体験性とインスタ映えで外国人観光客にも人気が高まっており、しばらくは過熱気味な状態がつづきそうだ。
また、特別見学会は毎年11月下旬の土曜日に開催されている。
地下神殿こと調圧水槽だけは例のごとく事前予約が必要だが(応募〆切は10月初旬)、通常非公開のポンプ室は予約不要というのでマニアックなむきにはうれしい。
「調圧水槽」という正式名称では実物の迫力が伝わらないが、通称の「地下神殿」はあまりにキャッチーだし、池好きとしては庄和地下減勢池ぐらいのほどほどの名があってほしい。
マークした場所は駐車場。