地図で見るとみごとに牛の形をした見島は、細かい海岸線の入り組みをのぞけば、ざっくりと一周15kmほどの離島である。
島内で最大の耕地といえば八町八反と呼ばれる約15ヘクタールの水田。上位には見島ダムが鎮座するが、その陰で百を数える小さな用水池が散り敷かれ、いまだに現役のものも多い。
それ以外の土地は山がちではあるが最高標高は180mほどしかなく、ゆるやかな斜面は切り開かれ棚田や段々畑として利用されてきた。狭い島道を歩いてそんな棚田の中に分け入っていくと、小さな素掘りの用水池と、堤構造をもった周囲長200mクラスの溜め池が待っていた。
見島で会った池たち
周囲長200mクラスの棚池(1)
集落の西側の棚田地帯に、周囲長200mクラスの溜め池がある。滋味豊かで印象に残る池だった。
この池は集落から「福土城跡」の案内標識に従って進むと道沿いに現れる。洪水吐の横にポンプ設備のような小屋もあり、このあたりでは基幹となる溜め池のようだ。
集落と耕地
池は高台にあり耕地、その下に集落がある。
素掘りタイプの池(1)
この池は、周囲長200mクラスの溜め池(1)とは道をはさんで、すぐ下側にある。
周囲長200mクラスの棚池(2)
周囲長200mクラスの棚池(1)の上方にある。堤構造が見てとれるが、形状の連続性からは棚田のひとつを改造した池と思われる。
素掘りタイプの池(2)
水の入口も出口もない。どうやって利用しているのかも分からない。そもそも、使われているのか?
しかし池の護岸を見て、人工的に掘って管理されていると確信。
津田式の手動ポンプ
さらに農道を登っていくと灯台に出た。
灯台の横には「津田式」と鋳造された手動ポンプがあった。津田式の考案者・津田喜次郎氏は井戸水に含まれる塩分を除去するポンプを発明し特許を取得したそうだ。
見島ダム側の棚田
大小の池が百ほどもあるという。耕地はよく整備されていた。
棚田横の用水池
これは利用されている感じもするが、取水口が見あたらない。水田の高さも池の水面より上にある。
やっと使い方が分かった!
水を汲み上げている池に会えた。
高らかに響くエンジンの音。軽トラに積んで移動できるポータブルポンプで汲み上げていた。
アプローチ路
池へのアプローチ路は、せいぜい軽トラスペック。アスファルトよりもコンクリート舗装が多い。