水辺遍路

訪れた全国1万1,700の池やダムを独自の視点で紹介

兼六園「瓢池」(石川県金沢)

【ひさごいけ】

自然エネ100%の人工滝のある庭園池

天下に轟く名勝であり、日本三名園の金沢・兼六園。その兼六園発祥の地とされるのが、もともと蓮池庭(れんちてい)と呼ばれた、ここ瓢池一帯。
水源は11km離れた犀川上流から引かれた日本三大用水(四大用水)の辰巳用水
神仙思想を体現した二つの島を持ち、加藤清正公が朝鮮半島より持ち帰ったという虫食いの灯籠(海石塔)が立つ。

水辺遍路謹製マップ(ver.1.0)

瓢池の歴史と地形

崖線下の沼沢を蓮池庭に改造

小立野台地の末端に位置する千歳台の崖線直下にできた沼沢(水源は湧水だろう)を、1676年、加賀5代藩主・前田綱紀が改造して「蓮池(亭)庭」という庭園池にしたのがおこり。
標高40mほどの踊り場で、台地テーブルトップから12mほど低く、下の通りからは10mほど高い。

大火の復興時に拡張

池は1759年の大火で激しく損傷。
15年後の1774年、11代藩主治脩(はるなが)が再建に着手。滝、夕顔亭などを新たに加えて拡張し、現在の瓢池の形に近づいた。
ヒョウタン(瓢)の形をしていることからその名が付くというが、私にはどうしてもヒョウタン形の池には見えない・・。むしろ島の方がヒョウタン的かも。


地形

池の北側から

階段を上がっていくと上段の霞ヶ池。

池の南側から


ジオラマ

石川県立歴史博物館の展示物。
兼六園は空撮が難しいので、鳥瞰図を描くのにこのジオラマにはずいぶんとお世話になった。



 

瓢池の構造

流入口(翠滝)

高さ6.6メートルの人工滝。

噴水池からの流入口

水の流入口はこの滝とは別にもう一本、上段にある霞ヶ池からの水路が斜面を駆け下り、心地よい水音を響かせている。

じつはもう一つの滝という流入口?

池の南側に小さなもうひとつの滝があった。現場に案内板、看板類はなかったが、これはオリジナルの蓮池時代の辰巳用水流入路だったのではないかと思った。


吐き出し

築造当初の江戸時代初期は、辰巳用水の流路になっていたと思われるので、当時は金沢城のお堀だった蓮池門通りへと流下したか、水路でいもり堀へと導水していたのではないかと考えている。
ただ、霞ヶ池ができてからは百間堀をくぐる逆サイフォンで二ノ丸まで用水を引き上げており、このときの資料では、いもり堀へはサイフォンルートで導水されていることが分かった。



コンクリート製の中堤

コンクリート製の中堤。流入量の調節用の板がはさみこまれている。この池、どうやらただの庭園池ではなさそう。隠された機能は、貯水池か沈砂池? はたまた調整池?

神仙島をかたどった二つの島

中国の道教思想を体現した池と島

霞ヶ池の蓬莱島と、ここ瓢池の二つの島は、中国の道教思想における「神仙島」を体現したものとされる。神仙島は不老不死の薬を持つ仙人が住む仙境。


亀島(中島)と海石塔

加藤清正公が朝鮮より持ち帰ったとの伝承もある海石塔(かいせきとう)が立つ。

岩島

いわじま。盆栽のような小さな松が植えられている。この松にもしっかりとかわいい雪吊りが。

夕顔亭

江戸時代に発祥。




 

動植物と魚類

園内には66種の苔が生息。
瓢池の周囲は特にヤマトフデゴケ(シッポゴケ科)のビロードのようなグリーンが美しい。
この池美を守っているのは徹底したメンテナンス。2019年に現地で見かけた機材はゼノア社製HBZ260Eというブロア。庭園池マニアならばぜひ入手しておきたいアイテムだ。


鯉の他に日淡(日本産淡水魚)の姿も。(2019年撮影)

カワセミ

カワセミを狙うカメラマン。なぜ全国各地の池でカワセミはこうも人気者なのだろう。(2019年撮影)



 

池周辺の施設

池下の茶屋通り


県営屋内駐車場(兼六駐車場)

有料。トイレあり。

県営屋外駐車場(本多の森駐車場)

有料。トイレあり。

石川県立歴史博物館




 

マップ

現地案内マップ

ニッポン湖沼図鑑

部分抜粋(2026年1月)

Googleマップ