【かざふきおおいけ】
北アルプス最大級の山池
白馬連峰のみならず北アルプス最大の山池といえば、湖面標高1,778mの風吹大池・・ということになっており、さらに県の資料には「日本の高山湖沼中最大の面積をもつ」とスケールアップした見立てもあった。
一般的に日本一の高山湖沼は標高1,269mの中禅寺湖(栃木県)を挙げることが多い。湖周長はなんと25kmに及ぶ。
一方、風吹大池は湖周長は1.3kmほど。水深は5mとも9mとも。
「高山湖沼」の定義をどこに置くかで、タイトルホルダーは変わってきそうだ。
成因と、三つの衛星池
従来の火口湖説は否定され、近年では溶岩ドームが崩落した火山性の堰き止め湖と考えられている。
一方、風吹大池に寄り添う衛星池の科鉢池と小敷池は爆裂火口湖とされ、火口湖にはさまれた堰き止め湖という複雑な地形にある。
流れ込み側にも、もうひとつ血池という池もある。
魅惑の地形
三つの衛星池のうち、二つは湖面標高が高く、一つは低い。直接の通水関係があるのは血池だけか。
流れ込み
一方、神の田圃湿原末端の血の池から遊歩道を兼ねた枯れ沢が大池インレット側へと流れ込んでいた。
吐き出し
吐き出しは風吹山荘のある南東側にあるが、平時は湿原状になっている。増水路以外は大きな越流はないようだ。
透明度の高い水質
恒常的な水の流出はないということであるが、濁りやゴミが溜まりやすい吐き出し側もこの透明度。
池底に枯れた植物、落ち葉などの堆積は見られず、砂礫に大岩がところどころといった感じ。
地下浸透など、ある程度、水は動いているようだ。
湖周路だけど登山路
池を一周する散策路があるが、じつは湖岸を歩けるのは北岸側のみ。流れ込みのあるインレット側からは登坂の山道となり風吹天狗原に着くまで池の眺望はない。
そんなわけで山池でありながら一周90分もかかる。衛星池をめぐるならば、倍ほどの時間をみておいた方がいいだろう。
風吹大池へのアクセス
二つの登山口があるが、いずれも池まで行くだけであれば日帰り往復可能。
衛星池も含めて池めぐりするのであれば、慌てて進むより山荘泊がおすすめ。
北野登山口
標高1,342m。風吹大池までの直線距離は2.4km。
登山口前の未舗装駐車場はそこそこキャパシティあり。ただし、ここに来るまでの山道はほとんど舗装路だが狭くて長い。
登山路
池まで4kmほど。2時間ほどで登ったが通常3時間半との表示も。急登が多いが登山路の整備状況は良好。
風吹山荘
池尻の湿原にある。いい場所だが池が見えないのが残念。山荘のご主人はとても親切で、池についてもいろいろおしえてもらった。
池めぐりの所用時間
衛星池や神の田圃などをめぐりながら大池を一周して往復すると歩程は10km(獲得標高717m)を越える。急いだので登山口までの往復を含め所用時間4時間半だったが、もったいないことをした。できれば山荘に泊まってゆっくり池めぐりしたいフィールドだ。
池に生息する動植物
湖岸路沿いにブルーベリーがなっていると山荘のご主人がおしえてくれた。そして、熊の分は残しておいてあげてね、と。
シラビソとダケカンバが湖畔に揺れる。紅葉もみごと。
湖沼型は貧栄養湖。池は常時流出している河川がないため、魚類の自然遡上は難しそうだが、放流された魚などがいるかもしれない。いつか釣査したい。
白馬連峰の山池さんぽマップ
Googleマップ
マークした地点は湖周路と血池方面への分岐点。