水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

原の水神池(東京都品川)

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都心も近い古い住宅街の中にある小さな池であるが、一帯が農村だったころから地域の貴重な湧水による水源池として大切にされてきた。収穫した野菜を出荷前に洗っていたという話もある。
また、池の水が目の病に効験があるとされ、治癒した人がお礼として池に鯉を放つ習慣もあったようだ。池ばたに今も立っている水神の祠は明治12年に再建されたものだというから、慣習は江戸時代あたりから行われていたと考えられる。
神事として鯉を池に放つ「放生」と呼ばれる慣習は、本州から九州の各地の寺社の池でも見られる。
池のかたわらにあるミニ公園の下は空洞になっており、池の半分にフタをしたような構造になっていることが、お笑い芸人ハリセンボンの箕輪はるかが出演したテレビ番組で明らかになった。

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手前のコンクリート下に池の半分が隠れている。

2017年にシリーズ企画として放送が始まったこの番組は、住民の要望を受けて池の水をすべて抜き、外来生物の駆除や清掃を行っている。このときは、鯉、モツゴ、金魚、クサガメのほか、東京23区で準絶滅危惧種に指定されているアズマヒキガエルのオタマジャクシも見つかった。
番組シリーズでは、ほぼ一貫して鯉を外来魚として扱っているが、鯉塚まで立つこの池の鯉は、さすがに駆除しなかったようである。
鯉は放流によって全国に広がった外来種が大半を占めるのも事実だが、日本在来の種もいると考えられている。(体形や生態が異なるようだ。ノゴイと呼ぶ場合も)
外来魚といえば北米から移流されたブラックバスがまず俎上に上がるが、アメリカでは鯉の方が有害な外来魚として扱われている。
池に駐車場および駐車スペースはないので、公共交通機関を利用。

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原の水神池


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池のかたわらにある水神と鯉塚

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池の由来碑