水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

茶屋ヶ坂池(愛知県名古屋)

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都市部の坂わきにある溜め池だが、すでに現役は退いているようだ。池のまわりに遊歩道が設けられ、池の水源林とともに茶屋ヶ坂公園(「池」は付かない)として環境が保全されている。
池の流れ込みに沿って公園内の坂を上っていくと湧水地も残されており、さすが名古屋! と、うならされる。都市計画に池を生かす哲学がある。
吐き出し側には水門が見られた。公園にトイレはあるが駐車場はない。
かつてはバス釣り場として名を馳せたが、2013年に見学者を合わせ360名がかいぼり(水抜き)を行なった際に大量に駆除された。現在、釣り禁止看板が掲げられている。
池の豊かな都市・名古屋ではかいぼりを「池干し」と呼び、なごや生物多様性保全活動協議会が中心となって時に千人を越える規模で行われている。
外来生物駆除が目的であるが、駆除された巨大なマリのような生き物に目を奪われた。知多半島の池でときどき目にしていて、その怪奇な容貌にビビりつつ、正体を知らなかった。じつは数ミリのごく小さな動物性のポリプ(虫体)ということで、群体となってあの姿になる。いわばサンゴの池バージョンみたいな感じだろうか。その名もオオマリコケムシ。

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ため池の水を農業用水として利用していたころ、農作業を終えた冬には池から水を抜き、底にたまったドロや土砂を取り除き、堤防や水門の点検修理を行っていました。

冬の間中、天日にさらされた池底では腐敗物の分解、殺菌が行われ、春の菜種梅雨を受けて水が貯まっていきました。取り除いたドロは肥料として活用し、捕らえたコイやフナ、モロコなどは冬場の貴重なタンパク源として食されていました。池干しは、地域の人々の暮らしを支えながら、多様な生きものたちのすみかの環境も守ってきました。

ため池の用途が利水から治水へと変わると池を干す慣習も見られなくなりましたが、ため池の在来種を守ることを目的として、外来生物を除去する池干しが注目され始めています。

また、池干しはため池の生態系の調査にとっても重要です。
(なごや生物多様性保全活動協議会オフィシャルサイトより抜粋)

www.bdnagoya.jp


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水門
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釣り禁止看板
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マークした場所は池の水源の湧水地。