ドッコ沼は数ある蔵王の山池のなかでも、盟主たる存在感を放つ池である。
観光地として開発されていることもあるが、湖面標高1,264mの山池としてはオープンで明るい雰囲気だが、かつては竜の棲む沼だったという。修行で蔵王入りしていた覚山法師が、この沼の前で竜と遭遇。独鈷(どっこ・とっこ)と呼ばれる金属製の法具を投げ入れて調伏したことが、池名の由来とか。
池畔には鎮護の水神碑も立つ。江戸時代後期にこの碑を立ててから、活発だった蔵王の噴火がおさまったそうだ。
ドッコ沼は単に美観を持つ観光地としてだけでなく、中腹にある蔵王温泉街の水源としても利用されているという話はとても興味深い。池の流れ出しを探してみると石組みの水路が下に向かってのびていた。
一方、池のまわりを見まわしても流入河川は見あたらない。湖底からの湧水だろうか。エメラルドグリーンの水は魔的でさえある。
ここの魚には興味深い話があり、イワナに加えニジマス、ヒメマスといった国内外の外来魚(持ち込まれたもの)もいたところに、皇室の三笠宮様が北海道系イワナのオショロコマを放流したそうだ。このころに釣り禁止になり、現在はアメリカ系イワナのブルックトラウトまで確認されるという。イワナ以外はすべて外来魚と思うのだが、オショロコマは駆除すべきでないとか、いろいろ難しいようだ。
アプローチとしてはロープウェー利用が一番手軽だが、クルマでも長い山道を覚悟すれば行くことはできる。
マークした場所はドッコ沼の駐車場