水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

無蔵水(沖縄県伊平屋島)

んぞみじ。

左側に見える岩の間の水たまりが「無蔵水」と呼ばれる池

岩棚にある伝説の池

日本にある主要な湖沼や池、ダムのほぼすべてを見てきたが、名前が「ん」から始まる池に会うのは、ここが初めてだろうか。
伊平屋島の北端近くの海岸にある岩棚にできた水たまり状の池であるが、海に消えた夫の帰りをこの場所で待ち続けた貞淑な妻の池伝説がある。
アプローチするには、数メートルではあるが岩礁をロープを伝ってよじ登る必要があるのでサンダルではなくシューズや動きやすいかっこうがいいだろう。
駐車場、案内板あり。

磯場にあるこの大岩の中段の踊り場に池がある。岩に登るためのロープが左側に小さく見える。


 

池伝説

なんでハッピーエンドの昔話は、「しましたとさ」という言葉を使いたくなるんだろう。この言葉、他の用例を見たことがない。

むかし、田名村にいた若い夫婦の話。
ある夏、夫は小舟(くり舟)で田名岬の沖へ約りに出て、にわかに起こった風波に流されてしまいました。2~3年の間行方がわからず、村の人々はもう死んだものとあきらめました。
村一番の美人だった妻は縁談がひきもきらず、両親も再婚をすすめましたが、妻は「夫はきっと生きている。
帰るまで待ちます。」そして毎日、夫が消えた沖合の見える、小山ほどの大岩の上で帰りを待ったのです。この岩にある周囲6メートル、深さ50センチ(最大満水時)の不思議と決して涸れない水たまりが無蔵水。
愛を涸らさず待ったかいあって数年後、夫は元気で妻の待つ島に戻りました。その後2人は仲睦まじく家を興し、立身出世しましたとさ。
めでたしめでたし。
当時の村の人々は妻の貞操をたたえ、女性たちへの教訓歌を作り残しています。
大田名ぬ後に無蔵水ぬあゆん
夫振ゆる女 ありにあみし

bunbun.hatenablog.com
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無蔵水の立地と景観





 

無蔵水の駐車場



 

伊平屋島の風物

伊平屋のシーサー


くまや洞窟

侵食によってできた珪岩質の洞窟。


島のスーパーと地魚


 

マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ

Googleマップ