水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

黒沢池(千葉県八千代)


釣り人が池ヌシの大蛇を釣りの腕前で退散させる珍しい池伝説

黑沢池近隣公園という池名を冠した公園として整備開放されている。住宅に囲まれた池は小ぶりながら上を鉄道高架が通り、展望デッキやボードウォーク、駐車場、トイレのほか、大型遊具も設けられている。
そんな黒沢池だが、もともとの名前は「黒蛇池」といい、子どもを呑み込む黒い大蛇が池ヌシとして棲み、誰も近づかなかったところ、度胸のある釣り人が池ヌシを釣りの腕前で打ち負かして退散させるという、かなりユニークな池伝説がある。
この釣り人のおかげで安全になった黒沢池であるが、現在は錦鯉が泳ぎ釣り禁止となっている。
以下、現地案内板より。

黒蛇の伝説

この公園用地の一部は、かつて水田を潤す水源として機能していた黒沢池です。
黒沢池には志津から船尾、七軒屋まで大男が歩いた足跡からできた池のひとつといわれている言い伝え(「八千代市の歴史資料編・民俗」)や、黒い大蛇の言い伝え(「印旛郡誌」)があります。さらにそうした言い伝えから次のようなお話もあります。

池の黒大蛇(「ふるさと八千代物語」より)

江戸時代、この池は人々に恐れられ、近づくものがなく、また決して周辺を通行してはならないと言われていました。
ある時、村の男が一人で池に釣りに出かけました。すると、黒い着物の男がこちらに背を向け釣りをしていました。黒い着物の男は相当な数の魚を釣り上げていましたが、村の男はそれを上回る釣り上手でした。
ある日、いつものように釣りをしていると黒い着物の男が急に立ち上がり「わしはこの池の主で、魚を釣り上げる数をお前と勝負しようと思ったが、くやしいがいつもお前の方がわしを上回っていた。わしは完全に負けた。もうこの池の主としての資格を失った」と言ったかと思うと、黒い大蛇に姿を変えて、池に入っていき、再び姿を現すことはありませんでした。
以後、人々は恐れることなく、周辺を行き来するようになったといいます。それからは、誰からともなく「黒蛇池」とよばれるようになりましたが、言いにくいのか「黒沢池」になったといわれます。

黒沢池(「八千代の昔話」より)

村のある家の子供が、突然姿を消し、村人たちは「黒蛇の住む池に行って蛇に飲み込まれたに違いない」と話し合いました。それからというもの村人たちはこの池を恐れ、近づかなくなりました。それからは、誰からともなく「黒蛇池」とよばれるようになりました。


 

池の景観


錦鯉と釣り禁止看板

遊具

駐車場・案内板




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マークした場所に駐車場・トイレ。