水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

国府配水池(神奈川県大磯)

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紺、黄、赤に塗られたカラフルなハンドルが印象的。コンクリート段の奥の芝生の下が配水池。蓋がされた状態

てくてく歩いていて、現地の看板でたまたま見つけた。
「国府配水池」と記されている。
住宅地に取り囲まれた高台。いや、そもそも住宅地自体が高台にある。配水池はその頂上にあった。周囲を睥睨する頂点。標高こそ低いが一応、天空の池に類する種族である。
ウェルカムな池ではないらしい。アクセスルートが見つからず、周辺を歩きまわって、ようやく突破口を見つけた。

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配水池が丘の頂上にあるのは当然であって、この高台にある住宅地に水道水を配水するためには、もっとも高い位置に貯水池を置くしかない。団地の給水塔と同じ原理。
住民の命をダイレクトに預かる水道用水の池なので、天面には完全に蓋がされている。地下式の池ともいえる。
しかしその配水池に水を送るにはポンプの力を借りざるを得ない。そのポンプ設備が突破口になった。門には「神奈川県企業庁水道局 黒岩ポンプ所」との銘板。
ポンプ場横には細く長い階段。
これがアクセス路と確信をするも、少し違和感も。住宅に水を供給しているなら、なぜ「企業庁水道局」? まあ、全国的に水道事業を民間に委託しようという時代だ。そういうこともあろうかと、階段を昇るが、これがなかなかハード。

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頂上に着くと、そこはフェンスに囲まれた、まごうかたなき配水池!
ご丁寧にもフェンス内に案内板も用意されているではないか。
ぬぬ? 国府配水池の下にカッコで「災害用指定配水池」とある。旧池と新池の二つの長方形の池で構成されるらしいが、災害用とは??

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そこに折りよくというか、地元のおじさんが歩いてきた。
問うてみると、やはりふだんの生活用水はこの池から供給されているわけではないとのこと。うーん、奥深し。おじさんといっしょに、この池のことについてしばし議論す。
おじさんはこの池に通ずる先の管理用階段の一部が崩れていたことについて市に補修を頼んだところ(確かに一部が崩れていた)、県の管理なので市では何とも・・と回答されたと不満を漏らしていた。
ただ、この配水池の一角から見える富士山はなかなかのものだとおしえてもらったが、雲に隠れて富士は見えなかった。
帰路は住宅地を抜ける下り坂を使った。途中、クッキーの自動販売機があった。世にはこういった特殊な自動販売機マニアもいると聞いていたので、お、と思ったが高価だ。腹はすいていたが同行していた妻が二つも購入しているのを見て、まこと女とはよく分からないものだと思った。

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