呉大和ミュージアム。
『艦これ』ブームでアニメファンの聖地巡礼も。
広島県の呉といえば巨大建造船が横たわるドックが並び、港には潜水艦や護衛艦が浮かび、戦時は海軍の最重要拠点でもあった。ここで建造された世界最大の戦艦である大和を記念した資料館、呉大和ミュージアムには実物の10分の1という大スケールの戦艦大和の模型が圧巻である。模型といっても実際の漁船ぐらいの大きさはあり、製作したのも地元の造船会社という本格ぶり。
この巨大模型の背後にはガラスを通して、巨大建造船の姿もうかがえるが、ガラスのすぐ後ろに見える小さな池が船舶模型マニアのあいだで「呉大和池」と呼ばれ、ラジコン試走も想定された池である。
船舶ラジコンマニアはこの池で「走航会」なるものを開催し、自慢のラジコン船を走らせる。彼らの間では、この池を訪れることを、「出撃」「侵攻」というらしい。
館内のグッズ売り場には修学旅行生が大挙して大賑わい。
模型といっても、ここまで大きくなるとどこを見ていいか分からない。人間の感覚で精巧さを感じるには、大きすぎる。
むしろ館外にある実物大の主砲身や碇などの展示の方が、おがっ、という驚きがある。
実物大のスクリュー。その向こうに見えるのは、実物大、ではなく実物そのものの潜水艦。もうあきれるほど大きい。
模型はやはりこのぐらいのスケールが、ディティールを楽しめる限界であろうか。
戦艦金剛。個人的には好み。
金剛はイギリス製とのこと。蒸気で動いていた。
零戦に搭載された実物のエンジン。冷却フィンのすきまが美しい。
池とも大和とも違うところでやたら時間を費やしてしまった。というより池に行くことを忘れてしまった。あとで写真を見たら、大和模型の後ろに池が写っていたので、ほっとする。
呉大和ミュージアムは駐車場および入場有料。9:00〜17:00 火曜休館。
大和ミュージアムの真向かいには、海上自衛隊呉資料館も。
もう威容というより異様としかいいようのない巨大潜水艦の磁力に吸い寄せられるように、道を渡ると「てつのくじら館」(海上自衛隊呉資料館)の入口だった。なんとこちらは入場無料。
展示はエモーショナルでありパッショナル。しかも洗練されている。
機雷除去が日本の戦後復興の最優先重要課題だったとは。
ぐいぐいと二階、三階へと進み、潜水艦コーナーへ。
潜望鏡ハンドルの下に「NIKON」の旧ロゴ。世界に誇る日本の工学技術。こんなものまで造っていたとは。
元祖ドローン? 艦載用無人ヘリ。
その扉の先は・・。
三階から外に出る扉・・その先は、あの巨大潜水艦の艦橋へと渡る橋が待っていた。
日常感を求めて外へ。
館外に出てからも、大和から海上自衛隊へと非日常空間に長時間、身を浸していたためか、酸欠のように頭がくらくらした感じだ。
日常感を求めて港の方へ向かったが・・。
左側に浮かんでいる黒いものは、またも潜水艦。よく見ると右にも。ぜんぜん日常的ではない。
日常を求めてさらに南へ走るが、戦艦・金剛の艦橋と見まごう異形の建造物がそびえていた。
いったい日常感はどこへ。
呉の半島を離脱し、倉橋島へ。ようやくほっとする景観に出会えた。
いや、よく見るとループ橋とか、小さなフェリーなんか、ノスタルジー感ありすぎ。油断ならない広島県呉市だった。
軍港に適した呉の地形。(大和ミュージアムの展示物より)
マークした場所は呉大和池。